バルセロナのアントニオ・ガウディの建築群をご紹介

バルセロナには、スペインだけではなく世界を代表する著名な建築家の一人で、世界遺産にも登録された数々の建物を生み出したアントニオ・ガウディの作品が多くあります。それほど離れていない地域に点在しているため、観光をしやすいです。特に人気のある場所は観光にホップオンホップオフ 観光バスの停車駅になっているため、ご利用をおすすめします。初めて私が観光バスを利用したのはバルセロナでした。日本語のオーディオガイドも付いているので観光名所ごとの簡単な解説を聞くこともできます。
モザイク調のトカゲでお馴染みのグエル公園

グエル公園は、創設者の「エウゼビ・グエル」が豊かで広大な緑地の中に富裕層向けの新興住宅地の建設しようとした1900年に始まった建設プロジェクトが前身で、その建築を担ったのがアントニオ・ガウディです。当初は60所程の建築を想定していましたが交通の利便性の悪さ等から富裕層の興味を得られず、建築プロジェクトは1914年に半ばで停止し、1918年にグエルが亡くなったことから再開されることは無く、実際に建築が実現したのはグエルとガウディの2所のみでした。建設地はバルセロナ市庁によって買い取られ、1922年に「グエル公園」として一般公開されました。モザイク調のこの大トカゲがシンボルになっていてカラフルな建物が目立ちます。公園内は有料エリアと無料エリアで分かれているため、全てを見学して回りたい方はオンラインで先に予約をすることをお勧めします。
ガウディの代表作といったら、やはりサグラダ・ファミリア

サグラダファミリアは、建築家フランシスコ・ビリャールが無償で設計を引き受け1882年に建築が開始されたが、翌年にビリャ―ルが辞任して当時はまだ無名だったガウディ引き継がれました。ガウディは当初の設計を変更して1926年に亡くなるまでライフワークとして建築・設計に生涯をかけて取り組んでいました。没後もガウディのアイデアを盛り込んだ建築が130年以上も続いています。完成まで200年~300年はかかるとも言われていましたが、IT技術の進歩により模型の作成などの作業がスムーズに進むようになり、現在は2026年に完成の予定です。

サグラダ・ファミリアはバルセロナを代表する観光地のため観光客が殺到するので事前にWEBでチケットを取得することをおすすめします。希望日が取れないこともあるため、旅券の取得をしたらすぐにチケットの予約を試みてもいいと思います。チケットは複数の種類がありますが、塔へも入場できるチケットが人気です。塔へ入場するチケットを購入の際は、生誕の門(ファザード)か受難の門(ファザード)を選択してください。サグラダ・ファミリアは2005年に 「アントニ・ガウディ作品群」として建築中にも関わらず世界文化遺産として登録されています。
【サグラダ・ファミリア】
住所:Carrer de Mallorca, 401, L’Eixample, 08013
公式サイト:sagradafamilia.org/entrada
※WEB予約がおすすめです
ガウディの初期の代表的な建築作品「カサ・ビセンス」

カサ・ビセンスは建築家の資格を取得して5年目のガウディが、タイル会社の社長のマヌエル・ビセンスから夏用の別邸を建てる依頼を受けて手がけた建築です。依頼から2年後の1880年にガウディは設計を仕上げましたがビセンスの金銭的な事情もあり、完成時期は遅れ1888年です。ガウディが学生時代に影響を受けた西洋建築がイスラム様式の影響を受けて進化したㇺデハル様式に自然との調和を図るため、あらゆる動植物のモチーフを加えた作品で、ガウディが初めて引き受けた個人宅の建築プロジェクトです。物件所有者の変更に伴う拡張計画等を経て、2014年に銀行系グループが一般公開を目的にカサ・ビセンスの所有権を取得し、2017年から一般公開が開始されました。
【カサ・ビセンス】
住所:Carrer de les Carolines, 20-26 08012 Barcelona
営業時間:10時~19時※夏季は20時
公式サイト:https://casavicens.org/
※予約できます
海・池・水をテーマにリフォームされた邸宅カサ・パトリョ

「カサ」はスペイン語で「家」の意味で、「カサ・バトリョ」はつまり「バトリョさんの家」ということになります。カサ・バトリョは外観からすでに圧倒される独創的な雰囲気が漂っていました。18世紀当時のバルセロナは小さな街でしたが、人口の増加に伴い1859年に城壁が取り壊され、建築家イデルフォンス・セルダによって碁盤の目状の新市街が設計されました。その新市街に移り住んだ多くのブルジョア階級のひとりがパトリョさんで、彼は1877年に建築家エミリ・サラが設計した比較的シンプルな建物を購入します。しかし1900年、隣にあるアマトリェ邸が豪華にリフォームされたことに影響され、自邸もそれに見劣りしないものにしたいと考えたそうです。そこで1904年から1906年にかけて、ガウディに内外装の全面的なリフォームを依頼しました。
【カサ・バトリョ】
住所: Pg. de Gràcia, 43, L’Eixample, 08007 Barcelona
営業時間:9時~21時※最終入場20時
公式サイト:www.casabatllo.es/ja/
※WEB予約がおすすめです

ガウディが掲げたテーマは「海・池・水」。実際に建物の中に入ってみると、波打つような曲線や光の反射、青と緑の色使いが印象的で、まるで水中にいるような感覚を味わえました。外観を彩るモザイクタイルやガラス片は、地元の陶器会社の廃材をリサイクルして使用しているという話も、持続可能性に対する先進的な姿勢を感じさせます。屋上に登ると、異形の煙突が立ち並び、まるでガウディの想像力が具現化された彫刻庭園のようでした。夜にはライトアップされ、一層幻想的な雰囲気に包まれ、昼とは違う表情を見せてくれました。建築好きにはたまらない場所だと、改めて実感しました。
波立つ曲線が目を引くカサ・ミラ(ラ・ペドレラ)

カサ・ミラは、地中海やカタルーニャの雪山をテーマに、直線を一切使わず波打つような曲線で構成された、まさにガウディらしい独創的な建築です。カサ・ミラはラ・ペドレラと書かれることもありますが、同じ建築物です。ぺドレラとは採石場の意味です。私が訪れた時は、その独特なフォルムにまず圧倒されました。設計されたのはガウディが54歳の時で、1906年から1910年にかけて建てられたそうです。彼が手がけた最後の個人邸宅ということで、建物全体からその集大成とも言える情熱を感じました。建築当初は3階に依頼主であるミラ氏夫妻が住み、他の部屋は賃貸として使われていたそうですが、家賃が高すぎて当時はなかなか入居者が集まらなかったとか。今でも4世代にわたる住民が生活しているというのも驚きでした。

内部見学では、19世紀後半から20世紀初頭のブルジョワ階級の暮らしぶりが忠実に再現されていて、まるでタイムスリップしたような感覚になります。また、屋根裏にはガウディ建築に関する展示があり、彼の建築思想をじっくりと学ぶことができます。一番印象に残っているのは屋上です。彫刻のように配置された煙突や通風塔が、美しい曲線でつながり、不思議な世界観を作り出しています。バルセロナの街並みを背景にしたその眺めは、今でも忘れられません。まさに、ガウディの夢の世界に足を踏み入れたような感動体験でした。
【カサ・ミラ】
住所:Passeig de Gràcia, 9208008 Barcelona
アクセス:地下鉄3号線、5号線ディアゴナル駅
営業時間:日中9時~18時30分最終入場17時
夜19時~23時
公式サイト:www.lapedrera.com/ja/
※予約できます