ミャンマーの世界遺産バガン遺跡群でここは外せない

バガンは2019年に世界文化遺産に登録された、ミャンマーで唯一の世界遺産です。有名なカンボジアのアンコール・ワット、インドネシアのボロブドゥールとともに世界三大仏教遺産の一つとしても数えられています。バガンの遺跡群が建造されたのは、ミャンマー初の統一王朝のバガン王朝が繁栄していた11世紀から13世紀にかけてとされています。私がバガン遺跡を巡った時はホテルのレンタルサイクルを利用しました。ホテルによっては電動サイクルのレンタルができる所もあります。私は電動の自転車ではなかったのですが、1日で主要な遺跡群は充分に周りきれることができました。バガンは首都のヤンゴンよりも落ち着いた長閑な時間が流れる場所です。バガンに滞在する際は、「入域料」を支払う必要があります。5日間有効で一人25,000チャット(約1,700円)です。
バガンの守護神の兄妹の精霊が祀られたタラバー門

タラバー門は、バガン王朝初期のピンビャー王によって9世紀に建造された、バガンを防衛するための堅牢な城門です。かつて城壁で囲まれていたバガン旧市街への主要な出入口であり、現在も東門としてその堂々たる姿を残しています。この門は、軍事的な機能だけでなく宗教的な意味合いも持ち、門の両側には「マハーギリ・ナッ」と呼ばれる守護神の兄妹精霊が祀られています。彼らはミャンマーのナッ信仰における重要な存在で、旅人の安全を守る存在として尊ばれてきました。赤褐色の煉瓦造りと、時を経た風化の跡が、バガン王朝の栄華と長い歴史を静かに語りかけてくる、非常に趣深い史跡です。バガン訪問時には、まずこの門をくぐることで、さあ、バガンの旅と始めるぞと思わせてくれるような場所でした。
バガン遺跡の代表格で最も美しい建築とされるアーナンダ寺院

アーナンダー寺院は、バガン王朝の黄金時代を象徴する仏教建築の傑作で、1090年頃にチャンシッター王によって建立されたとされます。インドのナーランダー僧院の影響を受けたとされる建築様式で、対称性のある構造と繊細な装飾が特徴です。1975年に発生した大地震では大きな被害を受け、本堂の一部が崩壊しましたが、丹念な修復作業によりその美しさを取り戻しました。寺院の中心部には高さ約9.5メートルの荘厳な立像が四方を囲むように配置されており、南北の2体は創建当時のオリジナル、東西の2体は火災で失われた後に復元されたものです。アーナンダ―寺院はバガンの代表的な観光スポットなので必見です!
【アーナンダー寺院】
場所:Archaeological Zone, Old Bagan, Mandalay Division
アクセス:タラバ―門から徒歩3分程
営業時間:8~17時
バガンの寺院で一番の高さを誇るタビィニュ寺院

60m以上の高さがありバガン遺跡で一番の高さを誇るのがタビィニュ寺院です。タビィニュ寺院は5階建てのレンガ造りの建物で1階と2階は僧侶の住居として、3階は仏像の安置場所として、4階は図書館として、5階には仏舎利が保管されていました。ナラトゥ王によって12世紀に建てられたとされています。「タビィニュ」とは全知者、すなわち仏陀を意味し知恵と悟りの象徴とされています。タビィニュ寺院へ訪れた際は、隣にあるタビィニュ僧院には日本人戦没者の慰霊碑が建てられているので足を運んでみてください。慰霊碑の清掃などをしてくれている現地の方に声を掛けられ、私が日本人だと伝えると現地の方に案内して頂きました。
黄金の仏塔が美しいシュエズィーゴォン・パゴダ

「シュエ」は黄金、「ズィーゴォ」は勝利や栄光を意味し、その名の通り金色に輝く仏塔が人々を惹きつけてやまないシュエズィーゴォ・パゴダ。仏陀の額骨と歯が祀られていると伝わり、ミャンマー仏教の中でも非常に重要な聖地とされています。塔の四隅には小さな仏塔が配され、それぞれに仏像が納められており、壮麗な宗教空間を形成しています。この仏塔の建設は、11世紀にバガン王朝の初代王アノーヤターによって開始され、後を継いだチャンシッター王の治世に完成を迎えました。パゴダの美しさは日光を浴びてさらに際立ち、参拝者の心に深い印象を残します。仏教文化と王権の象徴としての役割を果たしてきたこの場所は、今なお多くの人々の信仰を集める聖なる存在です。
【シュエズィーゴォ・パゴダ】
場所:Shwezigon Pagoda St., the West of Nyaung Oo, Bagan
営業時間:4~22時
現在も未完成の曰く付きの寺院ダマヤンジー寺院

ダマヤンジー寺院は、アラウンスィードゥー王の次男ラナトゥによって建設が始められた巨大な仏教寺院です。ラナトゥは王位を手に入れるため、父と長兄ミンシンソウを暗殺し、その罪の贖いとしてこの壮麗な寺院の建設に着手したと伝えられています。建築様式は当時としては最大規模で、レンガの継ぎ目が見えないほど精巧な職人技が施されており、建築美の高さに驚かされます。しかし、ラナトゥは在位中に暗殺され、工事は未完のまま中断されました。そのため、本尊の仏像以外は納められておらず、内部には不自然な窪みが点在しています。地元では「夜になると幽霊が現れる」との噂も残る、どこか神秘的な雰囲気を漂わせる遺跡です。未完成ゆえの静寂さと、哀しい歴史を背負うこの寺院には、他の遺跡とは異なる独特の魅力があります。
日の出や日の入りスポットとしても有名なシュエサンドー・パゴダ

シュエサンドー・パゴダは、バガン王朝を築いたアノーヤター王が1057年に建立した初期の仏塔で、バガン黄金期の幕開けを象徴する重要な遺構です。「シュエ」は黄金、「サンドー」は聖髪を意味し、塔の内部には、征服したタトォン王国から持ち帰ったとされる釈迦の遺髪が納められていると伝わります。5層のテラス構造になっており、高く積み重なった白亜の仏塔は、遠くからでもひときわ目を引く存在です。この高台は、日の出や夕日の絶景スポットとしても知られ、多くの旅行者がその瞬間を見ようと訪れます。特に、夕暮れ時に周囲のパゴダ群が赤く染まり、森の中に点在する仏塔たちが静かに浮かび上がる光景は息をのむ美しさです。静寂と神聖さが交わるこの場所は、バガンの魅力を体感するには欠かせないスポットの一つです。私も頂上で色々な国の方達と夕日を眺めました。皆さんも是非、行ってみてください。