音楽と歴史が息づく、ザルツブルク6大観光名所

アルプスの麓に広がるオーストリアのザルツブルクは、音楽と歴史が静かに共鳴する町。1996年にはその旧市街一帯がユネスコ世界文化遺産に登録され、中世からバロック時代にかけての美しい街並みと文化遺産が高く評価されています。この街には、訪れる人の心を打つ名所がぎっしりと詰まっています。たとえば、荘厳なバロック建築のザルツブルク大聖堂、オーストリア最古の聖ペーター修道院、モーツァルトゆかりの生家やゲトライデガッセの通り。さらに、愛と芸術に彩られたミラベル宮殿と庭園、そして旧市街を見下ろすホーエンザルツブルク城塞。それぞれがこの街の歴史と魅力を映し出しています。
モーツァルトも洗礼を受けたザルツブルク大聖堂

ザルツブルク旧市街の中心にそびえる「ザルツブルク大聖堂(Salzburger Dom)」は、街の歴史と文化の象徴とも言える壮麗なバロック建築の教会です。ドームの青銅色の屋根と、2本の高い鐘楼が印象的なこの大聖堂は、774年に初代が創建され、その後火災と再建を繰り返し、現在の姿は1628年に完成したもの。オーストリアにおける最初期の本格的バロック様式の建築物として知られています。内部に一歩足を踏み入れると、白を基調とした壁と繊細な装飾が施された天井、そして天に向かって響くようなパイプオルガンの音色が訪れる人を包み込みます。洗礼台は、かのモーツァルトが実際に洗礼を受けた場所としても有名で、多くのクラシック音楽ファンが足を運ぶ理由のひとつです。
【ザルツブルク大聖堂】
住所:Domplatz 1A, 5020 Salzburg
アクセス:バス:「Mozartsteg」停留所から徒歩約5分
営業時間:8時~19時(月~土)、13時~19時(日・祝)
世界最古級のレストランが併設された聖ペーター修道院

ザルツブルク旧市街の奥まった静かな一角に佇む「聖ペーター修道院(Stift Sankt Peter)」は、696年に創設されたと言われる、オーストリア最古の修道院です。ザルツブルク司教ルペルトによって建てられ、今なお現役のベネディクト会修道院として機能しています。長い時を刻みながらも、今なお敬虔な祈りと静けさが漂う空間です。外観は控えめながらも、内部に足を踏み入れると、華麗なロココ様式の装飾と優雅な色彩に息を呑みます。特に美しいのが天井画と祭壇周りの彫刻で、まさに目と心が洗われるような時間を過ごせます。また、修道院に隣接する「聖ペーター教会」や墓地には、かのモーツァルトの姉・ナンネルをはじめとする著名人の墓も多く、歴史好きにはたまらないスポットです。併設された世界最古級のレストラン「聖ペーター・シュティフツクラーゲ(St. Peter Stiftskeller)」も、訪問の楽しみのひとつ。
【聖ペーター修道院】
住所:St. Peter‑Bezirk 1, 5020 Salzburg
アクセス:バス:「Herbert‑von‑Karajan‑Platz」停留所(系統1, 8, 10, A, 22, 23)から徒歩3分
営業時間:8時~12時、12時30分~18時30分
サウンド・オブ・ミュージックの舞台ミラベル宮殿と庭園

「ミラベル宮殿と庭園(Schloss Mirabell und Mirabellgarten)」は1606年に大司教ヴォルフ・ディートリッヒによって愛人サロメ・アルトのために建てられたという、ロマンチックな逸話があります。白とベージュを基調とした優美なバロック様式の建物内部には、結婚式場として人気の「大理石の間(Marble Hall)」があり、かつてモーツァルトもここで演奏したとされています。現在でもクラシックコンサートが開かれるなど、音楽と歴史が息づく空間です。何より圧巻なのが、その広大な庭園。手入れの行き届いた花壇、左右対称の幾何学模様、噴水や彫刻が美しく調和し、まるでヨーロッパ絵画の中を歩いているかのよう。映画『サウンド・オブ・ミュージック』の名シーンが撮影された場所でもあり、世界中のファンが訪れます。
【ミラベル宮殿と庭園】
住所:Mirabellplatz 4, 5020 Salzburg
アクセス:バス:「Salzburg Mirabellplatz」または「Mirabellgarten」停留所で下車すぐ
営業時間:8時~18時(月~土、日・祝休み)
WEB:https://roamaustria.com/mirabell-palace-and-gardens/
石畳とギルドサインに魅せられるゲトライデガッセ

ザルツブルク旧市街の中心を東西に貫く「ゲトライデガッセ(Getreidegasse)」は、まさにこの街の心臓部とも言える通りです。「Getreide」は穀物を意味し、「Gasse」は通りを意味し、「Getreidegasse」=「穀物通り」の意味です。これは、中世の時代にこの通りが食料品や穀物の取引所として利用されていた歴史に由来しています。石畳が敷き詰められた細い道の両脇には、バロック様式の建物が並び、その1階にはブティックや土産店、老舗カフェが軒を連ねます。特徴的なのは、各店舗の頭上に掲げられたアイアン製のギルドサイン(装飾看板)。中世の雰囲気を色濃く残したこの景観は、歩いているだけで時を越えたような感覚に誘われます。知っている店舗のギルドサインがどんなデザインなのかを見ながら街歩きをするのも楽しいです。ゲトライデガッセは観光客でにぎわうスポットでありながら、地元の人々の日常の道でもあり、ザルツブルクを訪れるなら、まずはここを歩いてほしい。そんな通りです。
ゲトライデガッセの黄色い外壁モーツァルトの生家

ザルツブルク旧市街のにぎやかなゲトライデガッセで、ひときわ目を引く黄色い建物があります。それが、「モーツァルトの生家(Mozarts Geburtshaus)」です。ここは1756年、ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトがこの世に生を受けた場所であり、幼少期の14年間を過ごした家でもあります。現在はモーツァルト博物館として、音楽ファンだけでなく世界中の観光客に親しまれています。館内には、モーツァルトが実際に使ったヴァイオリンやクラヴィコード(鍵盤楽器)、家族の肖像画、手紙や楽譜などが展示されており、彼の生活ぶりや家族との絆、音楽に対する情熱を間近に感じることができます。展示はとても丁寧で、初心者にもわかりやすい構成。音声ガイド(日本語対応)も用意されています。
【モーツァルトの生家】
住所:Getreidegasse 9, A‑5020 Salzburg
営業時間:9時~17時30分、8時30分~19時(7月~8月)
公式サイト:https://mozarteum.at/en/mozart-museums/mozarts-birthplace
ヨーロッパ最大級の中世城塞、ホーエンザルツブルク城塞

ザルツブルクのどこからでもその姿を見上げることができる「ホーエンザルツブルク城塞(Festung Hohensalzburg)」は、オーストリアを代表する中世の城塞です。1077年に建設が始まり、歴代のザルツブルク大司教たちの居城として、また軍事的拠点として増改築を重ね、現在に至るまでヨーロッパ最大級の保存状態を誇る城塞となっています。城内には複数の博物館や展示スペースがあり、拷問部屋、皇帝の部屋、歴代大司教の礼拝堂、さらには中世の楽器展示なども楽しめます。見学ルートには音声ガイドも用意されており、ザルツブルクの政治・文化・宗教の変遷を感じることができます。夜にライトアップされた城塞は幻想的な雰囲気に包まれ、街のシンボルとして今もなお人々を魅了し続けています。旧市街が世界遺産に登録されているザルツブルク観光において外すことのできない象徴的な存在です。
【ホーエンザルツブルク城塞】
住所:Mönchsberg 34, 5020 Salzburg
営業時間:9時30分~17時(1月~4月、10月~12月)、8時30分~20時(5月~9月)