シェムリアップではロリュオス遺跡群とボートツアーも楽しめる

シェムリアップの滞在といえばアンコール遺跡群の観光がメインにはなりますが、アンコール遺跡群の主要なものは2日間あれば周ることができるので、ロリュオス遺跡群まで足を伸ばしてみてはいかがでしょうか?ロリュオス遺跡群もアンコール遺跡群が世界遺産に登録された際に、その構成要素の一部として世界遺産に登録されています。アンコール・ワットは12世紀前半に建てられましたが、ロリュオス遺跡群が建てられたのは7世紀後半でさらに歴史があります。今回は、私がシェムリアップで3日間の旅行日程を組んで観光をした際の3日目のルートを紹介します。
ロリュオス遺跡群の中でも歴史のあるプリア・コー寺院

プリア・コー寺院は、ロリュオス遺跡群の中で最も古い遺跡のひとつで、「聖なる牛」という意味を持ちます。名前の通り、境内の入り口付近には神聖な牛ナンディンをかたどった石像が並んでいて、遺跡に足を踏み入れるとすぐに迎えてくれます。中央には6基の祠堂が整然と並んでおり、レンガ造りの壁面には今も美しい彫刻が残っています。近づいてみると、神々や植物の文様が細かく刻まれていて、当時の職人の技術に驚かされました。規模としてはバコンのような壮大さはありませんが、細部の装飾や祠堂の佇まいに“凝縮された美しさ”を感じます。観光客はアンコール・ワットに比べて少なく、祠堂の間を静かに歩いていると、まるで時が止まったかのような感覚になりました。午前中のやわらかい光の中で見上げる祠堂は特に雰囲気がよく、写真映えも抜群。大きさではなく、繊細な美しさをじっくり味わいたい人におすすめの遺跡です。観光の時間としては30分程を目安にしておけばいいかと思います。
存在感あふれるバコン寺院

バコン寺院は、ロリュオス遺跡群の中でひときわ存在感を放つスポットです。遠くからでも積み重なる石の基壇が大きく見え、近づくとそのスケールに圧倒されます。なんとなくですが、アンコール・ワットに似ているような感じがしました。階段を登ると一段ごとに視界が広がり、上に行くほどに風が気持ちよく抜けていきます。中央の祠堂は少し崩れかけていますが、石に刻まれた細かな装飾が残っていて、ふと触れてみたくなるほど。周囲に点在する小さな祠堂やライオン像も見どころで、写真に収める人の姿が絶えません。ロリュオス遺跡群全体的にですが、観光客はアンコール遺跡群に比べると比べると少なめで、のんびりした空気の中で散策できるのも魅力です。頂上からは田園風景と村の緑が広がり、静かに眺めていると、遺跡巡りの中でも特に“登った実感”が残る場所でした。
かつては小島に浮かんでいたロレイ寺院

ロレイ寺院は、ロリュオス遺跡群の中でも一番北に位置し、他の寺院に比べると少し素朴な印象のある遺跡です。敷地の中央にレンガ造りの祠堂が4基並んでいて、それぞれの表面にはレリーフが残っており、近づいて見ると意外なほど細かい模様が刻まれています。保存状態は決して完璧ではなく、レンガの表面が崩れて草が入り込んでいたり、部分的に補修されていたりします。私が訪れた際は修復中のためほとんどが木の柵で覆われていました。

上の写真は、看板にあった修復後のイメージで、おそらく修復作業前の写真が使われていたのだと思います。他の旅行サイトで確認すると、現在はほぼ修復が完了しているようです。ロレイ寺院は、かつて「インドラタターカ」と呼ばれる巨大な貯水池の中央に浮かぶ小島に建てられていました。舟で向かわなければならないほどのスケールで、広大な水面を大海に見立て、中央の寺院を神々の住まう須弥山として祀っていたといわれます。今では池は干上がっていますが、当時の壮大な発想に思いを馳せると感慨深いものがありました。ロレイ寺院の周囲にはのんびりした村の雰囲気が漂っていて、地元の子どもたちが自転車で通り抜けたり、木陰でくつろぐ人々の姿も印象的でした。
トレンサップ湖のボートツアー

シェムリアップといえば遺跡巡りですが、トレンサップ湖のボートツアーも楽しめます。その中で有名なのが、チョンクニアとコンポン・プルックの2つのエリアです。チョンクニアは市内から近く、トンレサップ湖に浮かぶ「水上生活の村」として知られています。水上に建つ学校や教会、浮かぶレストランなどをボートで巡ることができ、まさに湖と共に暮らす人々の姿を間近に見られるのが特徴です。一方、コンポン・プルックは高床式の家並みが印象的で、乾季には高くそびえる家の下に地面が現れ、雨季になるとそこが水に覆われて一変します。さらに奥へ進むとマングローブの森が広がり、季節によっては小舟で森の中を抜ける体験も可能です。同じトンレサップ湖沿いでも、チョンクニアとコンポン・プルックでは雰囲気がまったく異なり、それぞれに違った魅力があります。
現地の方の暮らしぶりを見れる

私がトンレサップ湖のボートツアーに参加したのは、午前中にロリュオス遺跡群を観光した後でした。最初にトゥクトゥクのドライバーに希望のルートを伝えて料金交渉をすれば、一日を通して目的地に案内してくれます。ただし、ロリュオス遺跡群とボート乗り場までは移動距離があるため、同じ時間のチャーターでもアンコール遺跡群周辺を回る時よりも費用が1割ほど高くなりました。チャーター時間が同じでも移動距離が増えることによって費用が高くなることは支払いの際に言われたので少しもめましたが、確かにガソリン代やドライバーの労働も考えるとドライバーの言い分も納得できると思い最終的には応じました。同じルートで旅をする方は、当日に料金の確認を改めてするのが無難だと思います。ロリュオス観光の後にボートツアーを組み合わせるなら、私が訪れたコンポン・プルック水上村の方がアクセス的に便利です。

ボートツアーでは、住民の方が腰まで水につかって投げ網で漁をしている姿や子供たちが水辺で笑顔で遊んでいる姿などを見ることができ、なんだかほのぼのとした空気感でした。浮島の建物の中には食事をできる場所もあるので、こちらで昼食をとりました。ボートツアーの時間としては、だいたい2時間30分程です。途中でボートの運転手が小学生くらいの子供に代わったのでやや不安になりましたが、慣れた様子でボートの操縦をしていて全く問題なかったです。
【トレンサップ湖のボートツアーの注意】
チョンクニアとコンポン・プルック水上村の両方とも共通してですが、ボート代金が明確ではなく、入村料の請求が別途で発生、またはその他の過剰請求に合うという体験談も散見されます。不安な方は個人で行くのではなく、ツアーを利用した方が安心かもしれません。