断崖の古都スペインのロンダで見た、息をのむ絶景

ロンダは、スペイン南部アンダルシア地方・マラガ県にある歴史ある街です。近郊の洞窟で洞窟壁画が発見され、ロンダ周辺には新石器時代から人々が暮らしていたと考えられています。標高739メートルの台地に築かれた街は、深さ約100メートルのタホ渓谷（El Tajo）によって旧市街と新市街に分かれています。南側の旧市街にはイスラム時代の面影が残り、白い家や石畳の迷路のような小道がたくさんあります。一方、新市街にはカフェやタパスバーが並び、地元の人や観光客でにぎわう通りがあり、ランチやショッピングを楽しむのにぴったりです。豊かな自然と文化、歴史が息づく街ロンダは、多くの旅人を惹きつけます。

ロンダに着いて私たちが最初に訪れたのは、ヌエボ橋（Puente Nuevo）です。18世紀に完成したこの石橋は、深さおよそ100メートルのタホ渓谷をまたいで、旧市街と新市街を結んでいます。名前の「ヌエボ」とは「新しい」という意味で、すぐ近くには「古い橋」という意味のビエホ橋（Puente Viejo）もあります。ロンダの街は、グアダレビン川によって深く切り裂かれています。その断崖の上に架けられたヌエボ橋は、まさに街の象徴。橋の上から覗くタホ渓谷は「地の裂け目」と呼ばれるほどの迫力で、吸い込まれそうなほどの深さに、思わず息を呑みました。

ヌエボ橋からの迫力ある景色を堪能した後に向かったのは、ロンダを代表するもう一つのスポット、闘牛場（Plaza de Toros de Ronda）です。ロンダはスペインでも特に名高い闘牛の町で、「近代闘牛発祥の地」とも呼ばれています。18世紀に建てられたこの闘牛場は、スペインでも最も古い闘牛場のひとつ。隣には王立騎士団の乗馬学校（Real Maestranza de Caballería de Ronda）があり、かつて貴族の若者に乗馬術や戦闘技術が教えられていました。観客席の下にある闘牛博物館（Museo Taurino de Ronda）では、ロンダを代表する名闘牛士ペドロ・ロメロの資料や衣装、古いポスターなどが展示されています。見学を終えてアリーナに立つと、黄金色の砂が太陽に輝き、闘牛の熱気が伝わってくるようでした。

ヌエボ橋は上から眺めるだけでなく、ぜひ谷の下まで降りて見上げてみましょう。旧市街から道を下っていくと、橋を真下から仰ぎ見られる絶景スポットにたどり着きます。石造りの巨大なアーチと、数百万年にわたる浸食によって形作られた断崖が青空を背景にそびえ立ち、思わず立ち尽くしてしまうほどの迫力です。断崖沿いにはいくつものハイキングコースがあり、緩やかに整備された道のほか、急な岩場を下るルートもあります。場所によっては足元が滑りやすい箇所もあるため、急な道に挑戦する際はハイキングシューズの着用をおすすめします。

ロンダへは車での移動が最も便利ですが、公共交通機関でもアクセスできます。コルドバやマラガなどから Renfe の特急列車を利用する場合は、アンテケラ・サンタ・アナ駅（Antequera–Santa Ana）で乗り換えとなります。電車は本数が限られるので、時刻表を事前にチェックしましょう。バスはDamas社などが運行しており、セビリアから約2〜3時間、マラガから約1時間45分です。電車はロンダ駅（Estación de Ronda）、バスはロンダ・バスターミナル（Estación de Autobuses de Ronda）に到着し、旧市街へは徒歩15分ほどです。自然が長い年月をかけて生み出した圧巻の風景を、ぜひ楽しんでください。