セルビア語で「白い町」を意味する首都のベオグラードの名所

ベオグラードはドナウ川とサヴァ川が交わる場所にありバルカン半島の交通の要所です。人が住み始めたのは紀元前4500年からですが、ケルト人・ローマ人・スラヴ人など様々な民族が生活をしてきたこともあり、民族間で対立も多く古い史跡などはあまり残っていません。NATO軍からの空爆などの悲惨な歴史もありましたが、現在は治安も安定をして物価も安いためヨーロッパの中では観光をしやすい穴場的な都市です。
世界でも最大級の正教会の大聖堂、聖サヴァ教会

聖サヴァ教会は、セルビアの首都ベオグラードに位置する、世界でも最大級の規模を誇るセルビア正教会の大聖堂です。1935年に建設が始まりましたが、財政的な問題や第二次世界大戦、旧ユーゴスラビア時代の混乱により何度も工事が中断されてきました。そのため、外観は完成しているものの、私が訪れた2018年時点では内装工事がまだ続いており、部分的に足場などが残っていました。それでも教会全体から感じられる荘厳な雰囲気とスケールの大きさには圧倒されました。特に巨大なドーム型の屋根は遠くからでもよく目立ち、ベオグラードのランドマーク的存在です。教会は緑に囲まれた広々とした敷地内に建っていて、まるで公園の中に佇んでいるような落ち着いた雰囲気があり、市民や観光客がゆったりと時間を過ごせる場所となっています。日没時にはライトアップされ、白い外壁が淡く輝く姿もとても美しかったです。
【聖サヴァ教会 基本情報】
住所:Svetosavski Square | Karadjordje’s Park, Vracar, Belgrade
営業時間:7時~20時
数十年前の悲しい歴史の跡、NATO軍の空爆跡

旧ユーゴスラビア時代、セルビアとコソボの独立を目指すアルバニア系住民との間で対立が激化した際、アルバニア側はNATOの和平案に同意しましたが、セルビア側はこれを拒否。その結果、1999年3月24日よりNATO軍による空爆が旧ユーゴ各地で開始されました。空爆は実に78日間にも及び、多くの都市に被害をもたらし、約85万人もの人々が難民として近隣諸国へと避難する深刻な人道危機が発生しました。現在もベオグラードの中心地には、当時の空爆の爪痕を残すビルがいくつか点在しており、その傷跡は戦争の記憶として今も残されています。中でも有名なのが、ミロシュ公通りとネマニヤ通りの交差点付近にある破壊されたままの政府関連施設のビルで、崩れたコンクリートやむき出しの鉄骨がそのままの状態で保存されています。無言で戦争の悲劇を語るその光景には、観光客も足を止め、深く見入ってしまうような空気が漂っています。
ベオグラードの中心地に堂々とそびえる国会議事堂

セルビアの国会議事堂は、首都ベオグラードの中心地、共和国広場から徒歩5分ほどの場所に位置しています。クラシックな建築様式と堂々とした外観が印象的で、街の中でもひときわ目を引く存在です。内部に入ることはできませんが、その重厚な佇まいと荘厳な雰囲気に圧倒され、思わず写真を撮りたくなるスポットでした。特に夕方、建物が夕日に照らされる時間帯は、より一層美しく感じられます。訪れた際には、建物の正面に「誰が戦犯か?NATOはなぜ非人道的な行いに加担するのか?」という強いメッセージが書かれた垂れ幕が掲げられており、過去の紛争や政治的な背景を強く感じさせられました。政治の舞台としてだけでなく、セルビアの複雑な歴史や国民の思いが集まる場所でもあるのだと実感させられる、非常に印象深いスポットです。
セルビア最大級の博物館ベオグラード国立博物館

ベオグラード国立博物館は、ベオグラードの中心部の共和国広場に面して建っています。前には、ミハイル公の騎馬像があります。40万点以上の考古学・貨幣学・歴史・芸術コレクションが展示されています。その中でも、貨幣のコレクションは必見です。セルビアは約10年ごとに国の統治が変わってきているため、90年間で貨幣が7回も変わっています。また、4階には紀元前300年頃の祭司のミイラも展示されていました。予定が合う方は、入館料が無料の日曜日の訪問をおすすめします。
【ベオグラード国立博物館 基本情報】 ■所在地:Trg republike 1а, Beograd 104303 ■電話:+381 60 8075020 ■開館時間:火・水・金 10時~17時 木・土 12時~20時、日 10時~14時 ※月曜定休
ベオグラード観光の定番、ベオグラード要塞

ベオグラード要塞は、セルビアの首都にある歴史的な要所で、かつては防衛の拠点として重要な役割を果たしていました。現在は「カレメグダン公園」として整備され、市民や観光客の憩いの場となっています。軍事博物館では戦争の歴史を物語る武器や戦車などが展示されており、当時の雰囲気を感じることができます。私が訪れた際には、地元の人々がのんびりと過ごしている様子が印象的で、観光の合間に立ち寄るのにぴったりのスポットでした。高台からはサバ川とドナウ川の合流点を一望でき、特に夕暮れ時の眺めは格別。川面に映る夕日の色合いがとても美しく、思わず時間を忘れて見入ってしまいました。ベオグラードを訪れるなら、歴史と自然の両方に触れられるこの要塞は、ぜひ立ち寄りたい場所の一つです。
【カレメグダン公園 基本情報】 ■所在地:Kalemegdan Park, Belgrade, Centralna Srbija 11000 ■電話:+381 11 2620685