ストックホルムの隠れた美術館と軍艦の悲劇

ストックホルムの地下鉄の駅

スウェーデンの首都であるストックホルムは北欧最大の人口を有する大都市で、多くの美術館や博物館がある芸術の街です。別名「北欧のヴェネツィア」と呼ばれるバルト海に面した美しいストックホルムに「世界一長い美術館」があるのを知っていますか?今回は、この世界一長い美術館の秘密や処女航海に出てあっという間に沈没してしまった悲しい歴史を持つ軍艦ヴァーサ号について紹介していきたいと思います!

目次

世界一長い美術館とは?

Solna Centrum駅
Solna Centrum駅の作品の一部

ストックホルムの世界一長い美術館とは、公共交通機関「tunnelbana(スウェーデン語で地下鉄という意味)」のことなんです!100ほどある駅のうちの90駅にアート作品が展示されており、最大の展示作品はなんと、「駅全体」です!そしてtunnelbanaが全長約105キロあることから「世界一長い美術館」と呼ばれるようになりました。作品の多くは洞窟を削り出したようなプラットホームにペイントするテイストになっていますが歴史的アート作品から現代アート作品まで様々あり、世界の鉄道好きだけでなくアート好きからも大注目!また、地下鉄には乗り放題券(2024年4月現在1・3・7日間用の乗り放題券があります。)もあり、観光のついでに乗降駅のアート作品を楽しめば一石二鳥ですね!みなさんもぜひ、圧巻の巨大な芸術作品を楽しんでみてください!

美術館と地下鉄の歴史

T-Centralen駅
T-Centralen駅の作品の一部

tunnelbanaの「美術館」としての歴史は1957年に最初の作品をT-Centralen駅に展示したことから始まります。当時、「芸術をもっと身近に感じて欲しい」という熱い思いを持った芸術家の手により大規模なコンペティションが開催され100点以上の作品から選ばれた随一の、駅全体を利用した作品がT-Centralen駅に展示されました。そして時代を超えた現在、2024年でも同駅で変わらず鑑賞する事ができ、もちろん駅全体が作品なのでアートが描かれた壁に直接触れることもできます。こうしてtunnelbanaは過去から現在までの芸術の歴史に誰もがtunnelbanaを利用するだけで簡単に触れられる公共の美術館になったのです。

芸術の変わらぬ発展への思い

Stadion駅
Stadion駅の作品の一部

ストックホルム交通局では新たな駅を建設することは現在の段階で予定されていないのですが、だからといってtunnelbana内のアートが増えないという訳ではなく、既存の駅の一角に最新アートの臨時展示の開催を積極的に推奨する事でアートだけでなく街そのものの発展を変わらず目指しています。またOdenplan駅では、スウェーデンの美術大学やデザイン大学を卒業したばかりの新進気鋭のアーティストがアート作品に参加するなどアーティストのネームバリューや経験にとらわれない作品の展示をしており、今後もtunnelbana含めストックホルム・スウェーデンの芸術全体がどんどん成長していく事が期待されますね!

ヴァーサ号博物館で古の巨大軍艦を見よう!

軍艦ヴァーザ号の外観
軍艦ヴァーザ号の外観

ヴァーサ号博物館は館内に修復された本物の巨大な軍艦ヴァーサ号がそのまま展示されているとても見ごたえのある博物館です。ストックホルムの中心部T-Centralen駅からバスで約20分ほどの場所に位置し、すぐ近くにスウェーデンの文化的歴史について展示されている北方民族博物館やその他多数の博物館・美術館もあるため人気の観光スポットにもなっています。軍艦の建造から沈没・引き上げから修復などの歴史だけでなく軍艦の装飾のための彫刻作品も多数展示されており、子供向けの短編映画や日本語を含む多言語音声ガイドツアーにも対応しています。目玉はもちろん原型の98パーセントを留めたまま展示されているヴァーサ号です!写真左側に小さく写る人影が見えるでしょうか?みなさんもぜひ、この巨大な軍艦をその目に焼き付けてくださいね!

悲しい歴史と修復までの道のり

軍艦ヴァーザ号の内部模型
軍艦ヴァーザ号の内部模型

その建造に2年を要したヴァーサ号は、1628年の処女航海で想定外の強風と軍艦自体の設計ミスにより船体が大きくバランスを崩したことが原因でストックホルム港で沈没してしまいました。30名ほどの犠牲者が出てしまいましたが出航してすぐに沈没した事が幸いし、港から多くの人が助けに行く事ができたそうです。沈没から333年後である1961年に引き上げられたヴァーサ号はその規模の大きさから部分ごとに修復され、まるでジグソーパズルのように再び組み立てられました。その修復作業の丁寧さから現在も原型をほとんど留めたまま私たちの目の前にその圧巻の姿を現すことができています。博物館の営業期間中もヴァーサ号内ではメンテナンスが行われていることがあり、長期保存のための資材選びに関する研究は現在も続けられているそうです。

【ヴァーサ号博物館 基本情報】
■所在地:Galärvarvsvägen 14, Stockholm
■電話:+46 (0)8-51954880
■開館時間:9月~5月-10時~17時
(水曜は20時迄)
6月~8月-8時30分~18時 
※年に数日の休館日や時間の変更あり
■公式サイト:https://www.vasamuseet.se/en
チケットの予約ができます

ストックホルムの隠れた美術館と軍艦の悲劇 まとめ

Odenplan駅
Odenplan駅の作品の一部

いかがでしたか?ストックホルムにはまだまだ美しい景色や芸術がたくさんありますが、今回はなんとも珍しい世界一長い美術館と短命ながらもその修復やメンテナンスを含め長い歴史を持つ軍艦ヴァーサ号についてスポットを当てて紹介しました。みなさんもぜひ「北欧のヴェネツィア」で多くの歴史や芸術に触れてみてくださいね!

SELECTION―セレクション―