多彩な魅力が息づく地中海都市イスラエルのテルアビブ

イスラエルの地中海沿岸に位置するテルアビブは、歴史と現代が絶妙に融合した魅力的な都市です。中東にありながら、ヨーロッパの雰囲気を感じさせる街並みと、自由で開放的な空気が広がるこの街では、古代から続くヤッファ旧市街やユネスコ世界遺産に登録されたホワイトシティ、活気に満ちたカルメル市場など、多彩な観光地が訪れる人を魅了します。今回は、実際に現地を歩いて感じたテルアビブのリアルな魅力をご紹介します。
テルアビブ最大の屋外市場 カルメル市場

テルアビブの中心部に位置する「カルメル市場(Shuk HaCarmel)」は、地元の人々と観光客が日常的に行き交う、活気あふれるマーケットです。私は平日の午前中に訪れましたが、すでに市場内は人で賑わい、果物や野菜、スパイス、パン、衣料品などが所狭しと並んでいました。 売り手たちの元気な呼び声、買い物客が品定めする真剣な眼差し、スパイスの香りが混ざり合う空気感――ここでは五感すべてでイスラエルの「今」を体験することができます。私はザクロのフレッシュジュースを飲みながら市場を歩き、ふと目に入ったベーカリーで焼きたてのピタパンを購入。素朴ながら味わい深く、どこか懐かしい気持ちになりました。 カルメル市場は単なる観光名所ではなく、テルアビブの日常を垣間見ることのできる貴重な場所です。特に、露店の間を縫って歩くたびに新しい発見があり、飽きることがありませんでした。イスラエルの食文化に触れたい方、現地の雰囲気を肌で感じたい方には、ぜひ足を運んでいただきたいスポットです。
石畳に歴史が息づくヤッファ旧市街

テルアビブの南端に広がる「ヤッファ旧市街」は、数千年にわたる歴史を感じられる場所です。古代からの港町として知られ、聖書やギリシャ神話にも登場するこの地は、現代のテルアビブの原点とも言える存在。私は日中の明るい時間帯に訪れましたが、陽射しに照らされた古い石造りの建物や、狭く入り組んだ路地を歩いていると、まるでタイムスリップしたかのような感覚に包まれました。アーティストのアトリエやギャラリー、カフェ、小さな雑貨店が点在し、歴史的な雰囲気の中にも現代の活気が感じられます。中でもおすすめなのが「時計塔」周辺。オスマン帝国時代に建てられたこの塔は、街のシンボルとして今も静かに佇み、訪れる人々の目を惹きつけます。路地裏に咲くブーゲンビリアの花や、ふと開けた小道から見える地中海の青い海も、この場所ならではの風景。観光地化されていながらも、地元の人々の生活と自然に共存しているのが印象的でした。ヤッファ旧市街は、テルアビブを訪れたならぜひ足を運んでほしい、歴史と芸術が交差する心温まるスポットです。
世界遺産の街並みに佇むホワイトシティ

テルアビブを歩いていると、目を引くのが白い外壁と曲線的なバルコニーが特徴の建築群です。これは「ホワイトシティ」と呼ばれるエリアで、1930〜40年代に建てられたバウハウス様式の建物が集まっており、2003年にはユネスコの世界遺産に登録されました。私はロスチャイルド通りを中心に散策しましたが、白く輝く建物が木陰に映えるその風景は、とても心地よく洗練された雰囲気。歩道沿いにはカフェやベンチが点在し、街の人々がリラックスして過ごす様子が印象的でした。機能性と美しさを兼ね備えたバウハウス建築は、イスラエル独自の近代都市文化を象徴しています。この一帯では、建物の保存と活用が両立しており、実際に人々が暮らしている住宅や、リノベーションされたホテルなども見られました。歴史ある建築と現代の暮らしが調和したこの場所は、建築好きでなくとも訪れる価値のあるエリアです。
現代アートと空間美を楽しむテルアビブ美術館

近代的な外観が印象的な「テルアビブ美術館」は、イスラエル最大級のアートミュージアムのひとつであり、国内外から多くの芸術愛好家が訪れる文化施設です。私は午後に訪れましたが、モダンな幾何学デザインの外壁と、光を効果的に取り入れた内部空間に、まず感動しました。展示内容も充実しており、イスラエル出身の現代アーティストの作品から、ヨーロッパ印象派の絵画まで多岐にわたります。特に印象に残ったのは、静かな展示室で観たマーク・シャガールの色彩豊かな作品群。作品の前に立ち、しばし時間を忘れて鑑賞していました。また、館内にはミュージアムショップやカフェも併設されており、アート鑑賞の余韻に浸りながらゆったりと過ごすことができます。アートと建築の両方を楽しめるこの美術館は、文化的な一日を過ごしたい旅行者にぴったりのスポットです。