バルセロナの海を見下ろす要塞モンジュイック城

モンジュイック城は、1640年のカタルーニャ反乱に際して建設された要塞で、18世紀には現在の形に拡張されました。その後も政治的な出来事と深く関わり、特にスペイン内戦やフランコ体制下では、反体制派の収容や処刑に使われたこともあります。この場所には、政治的抑圧の歴史が刻まれていると同時に、バルセロナ市民の記憶の中で特別な存在でもあります。その歴史を知るための展示や資料館もあり見学できます。

モンジュイック城からの眺めは、まさに絶景です。北側にはバルセロナ市街の広がり、南側には地中海の青が視界いっぱいに広がり、晴れた日にはサグラダ・ファミリアやアグバール・タワーまで見渡せます。 眺望を楽しむなら日中がおすすめですが、夕方には夕日が美しいことで知られています。アクセスはケーブルカー「テレフェリック・デ・モンジュイック」や市バス（150番）で丘の上まで行くのが一般的。私は、ケーブルカー「テレフェリック・デ・モンジュイック」を使いましたが、徒歩で登るルートもあり、途中に植物園やミロ美術館などの観光名所もあるため、散策がてら向かうのもおすすめです。

モンジュイック城の内部は、当時の兵舎や大砲の台座、見張り台などがそのまま保存されていて、軍事施設としてのリアルな姿を間近で体感できます。さらに、歴史資料の展示や市民活動の展示スペースが整備されたことにより文化的な側面も強調されています。特に「軍事と市民の関係」についての展示は興味深く、スペインの歴史におけるモンジュイックの役割を知る貴重な資料が揃っています。城の中庭や通路も美しく整備されており、散策自体が楽しい体験となります。広い敷地内のため、景色の良さもありゆったりとした気分で観光ができます。

モンジュイック城は現在、入場に€12ほどかかりますが、 日曜日の午後3時以降と、毎月第1日曜日は終日無料開放されているため、予算を抑えたい方は公式サイトを事前にチェックしておきましょう。また、城の敷地は広く坂も多いため、歩きやすい靴を選ぶのがおすすめ。春や秋が観光には最適な時期で、夏場は日差し対策も忘れずに。※入場料等は変更になる場合があります。

モンジュイック城を訪れるなら、その周辺の観光地も合わせて巡るのが断然おすすめ。特に注目したいのが、 1992年 に開催されたバルセロナ・オリンピックの主要会場のひとつ「パラウ・サン・ジョルディ（Palau Sant Jordi）」。モンジュイックの丘の上に位置し、近未来的なドーム型の外観が印象的な多目的アリーナは、磯崎新さんによって設計されました。音楽ライブやスポーツイベントが開催されることでも有名で、建築好きにも人気のスポット。周辺にはオリンピック・スタジアムやカタルーニャ国立美術館（MNAC）、ミロ美術館なども点在しています。