モスクワのクレムリンと赤の広場

ロシア・モスクワの中心には、壮大な歴史と権威を象徴する2つの場所――「クレムリン」と「赤の広場」が隣接しています。一見すると同じ場所のように思われがちですが、クレムリンは高い城壁に囲まれた要塞で、大統領府や大聖堂などが集まる政治・宗教の中心地。一方、赤の広場はその東側に広がる広大な石畳の公共空間で、国家行事や観光の拠点として知られています。これらは、「クレムリンと赤の広場」として世界遺産にも登録されています。ここでは、グランド・クレムリン・パレスや聖ワシリイ大聖堂など、訪れるべき注目スポットを紹介していきます。訪問したことがある人もクレムリンと赤の広場は同じでしょ?と思っている方もいそうですが、別ですよ。また、現在、日本の外務省はロシア全土に対して「渡航中止勧告(レベル3)」を発出しているので注意してください。
モスクワの絶景を眺められるイワン大帝の鐘楼

クレムリン内にそびえる白亜の塔、それが「イワン大帝の鐘楼」です。高さ約81メートルと、かつてモスクワで最も高い建物でした。16世紀初頭に建設され、後に増築されて現在の姿となりました。上部に輝く金色のドームが青空に映え、遠くからでも一目で分かる美しさがあります。 この鐘楼は、かつてクレムリン内の教会の鐘を統括しており、宗教的・政治的な行事の際には、その荘厳な鐘の音がモスクワ中に響いたといわれています。現在では展望台が一般公開されており、モスクワ市内を一望できる絶好のスポット。登る途中にはクレムリンの建築や鐘の歴史に関する展示もあり、見学そのものがひとつの体験になります。クレムリン観光の中でも、鐘楼の存在感は別格。静かにたたずむその姿には、ロシアの歴史と信仰が凝縮されています。モスクワを訪れるなら、ぜひその足元から歴史の重みを感じてみてください。
ロシア国立歴史博物館で辿る千年史

赤の広場に足を運ぶと、まず目を引くのが深紅のゴシック建築――ロシア国立歴史博物館です。外観の美しさに圧倒されつつ中に入ると、そこにはロシアの壮大な歴史が詰まっています。古代から帝政ロシア、ソビエト時代に至るまで、時代ごとの展示が細かく構成されていて、見応え十分。皇帝の衣装や軍装、宗教美術、さらには日常生活の品々まで、多様な資料が並びます。個人的に印象深かったのは、ロマノフ王朝時代の豪華な装飾品。まるで過去にタイムスリップしたような感覚になります。歴史に詳しくない方でも、展示の流れが分かりやすいので安心です。赤の広場観光の合間に、少し足を止めてロシアの深い歴史に触れてみてはいかがでしょうか。建物自体も撮影スポットとして人気なので、外観だけでも立ち寄る価値があります。
色彩美が豊かなモスクワの代表、聖ワシリイ大聖堂

赤の広場の南端で、まるで絵本から飛び出したようなカラフルな建物――それが聖ワシリイ大聖堂です。正式名称は「ポクロフスキー聖堂」ですが、一般にはこの名前で知られています。玉ねぎ型のドームがいくつも並ぶ姿は、モスクワ観光のアイコン的存在。1980年代に旧ソ連で開発されたゲーム「テトリス」のタイトル画面に使われていたのが、この聖ワシリイ大聖堂です。中に入ると、外観とは違って意外とコンパクトな空間が広がっています。小さな礼拝堂が迷路のようにつながっていて、探検気分で歩けるのも面白いところ。壁一面に描かれたフレスコ画や装飾も美しく、写真を撮る手が止まりません。外から見るだけでも十分楽しめますが、内部見学(有料)もおすすめですよ。赤の広場を訪れたなら、ぜひ時間をとってゆっくり楽しんでほしい場所。季節や時間によって光の当たり方も変わるので、何度見ても飽きない魅力があります。
黄金のドームが輝くウスペンスキー大聖堂

クレムリン観光で外せないのが、黄金のドームがまぶしい「ウスペンスキー大聖堂。かつてロシア皇帝の戴冠式が行われていた場所と聞くと、ちょっと背筋が伸びる気分になります。でも実際に足を踏み入れると、意外にも静かで落ち着いた空間が広がっていて、荘厳さの中にも穏やかな空気を感じます。中は一面フレスコ画に囲まれていて、壁も天井もまるで一つの巨大な絵本のよう。金や赤、深い青の色使いに見とれてしまいます。ガイドさんの話によれば、今でも正教会の重要な儀式に使われるそうで、歴史の中に現代が生きている感じがとても印象的でした。「ロシアの心」とも呼ばれるこの大聖堂、外から見るだけではもったいないです。時間に余裕があれば、ぜひ中に入って、静かな感動を味わってみてください。
国家の中心グランド・クレムリン・パレス

クレムリンの南側、モスクワ川に面して堂々と建つのが「グランド・クレムリン・パレス」。一見するとただの立派な建物に見えるかもしれませんが、実はここ、ロシア大統領が公式行事を行う国家の中心ともいえる場所なんです。外観だけでも十分に迫力がありますが、内部はそれ以上に豪華絢爛。金色に輝くホールや歴代皇帝たちの部屋は、まさにロシア帝政の栄華を感じさせます。残念ながら普段は一般公開されていませんが、特別なツアーや行事の際に限定的に公開されることも。中に入れなくても、クレムリン周辺を歩きながら眺めるだけで特別な気分になれますよ。モスクワ川の対岸からの眺めもおすすめで、写真映えもバッチリです。ちなみに「クレムリン」という言葉の意味は、ロシア語で「要塞」や「城塞都市」。このグランド・クレムリン・パレスも、まさにその中核にある象徴的な存在なんです。