イスタンブールの隠れたリゾート地 プリンセス諸島で時を忘れる旅へ

トルコのプリンセス諸島

イスタンブールの喧騒から逃れ、穏やかな時間を過ごしたいなら、マルマラ海に浮かぶ「プリンスィズ諸島」がおすすめ。かつてビザンツ帝国の皇族や貴族が流刑された歴史を持つこの群島は、その名の由来にもなっています。現在はイスタンブール市民や観光客に愛される、癒やしと自然に満ちた楽園です。イスタンブール中心部からフェリーで約1時間の距離にありながら、プリンスィズ諸島はまるで別世界。自動車の乗り入れが禁止されており、島内の移動は自転車または徒歩、馬車が基本です。歴史的な木造建築が並ぶ美しい街並み、豊かな緑、そしてどこまでも広がる青い海が織りなす景色を見ることができるプリンセス諸島をご紹介します。

目次

プリンセス諸島のメイン島 ビュユック島

ビュユック島のシンボル 時計台
ビュユック島のシンボル 時計台

プリンセス諸島の中で最も大きく、よく知られているのが「ビュユック島」です。トルコ語で「大きな島」を意味するこの島は、歴史的な邸宅、美しい海岸線、そして豊かな自然が調和した魅力的な場所です。島の中央には2つの丘があり、最高峰のユジェテペには、6世紀に建造された歴史あるアヤ・ヨルギ教会と修道院がひっそりと佇んでいます。頂上からは、イスタンブール市街地や周囲の島々を一望できる絶景が広がり、多くの人々がその景色を求めて訪れます。ビュユック島では、レンタル自転車で島を一周したり、馬車に代わる電気自動車で主要な観光スポットを巡ったりするのがおすすめです。かつての皇族や裕福なイスタンブール市民の夏の別荘として建てられたオスマン帝国時代の美しい邸宅群に魅了されます。また、島の各地には美しいビーチがあり、夏には海水浴を楽しむ人々で賑わいます。カフェやレストランも充実している一方で、人がとにかく多いので都会の喧騒から離れたい人は次にご紹介する3島がオススメです。

緑豊かな静寂の島 ヘイベリ島

ヘイベリ島の歴史的な木造建築
ヘイベリ島の歴史的な木造建築

ビュユックアダに次いで2番目に大きな島が「ヘイベリ島」です。トルコ語で「鞍の島」という意味を持つこの島は、遠くから見ると鞍の形に似ていることから名付けられました。ヘイベリ島は、その豊かな緑と落ち着いた雰囲気が特徴で、より静かでリラックスした時間を求める旅行者に大人気。個人的には、穏やかでありながらアクティビティも楽しめるので今回訪れた中で一番過ごしやすく感じます。島内には美しい松林が広がり、ウォーキングやピクニックに最適です。また、歴史的な建造物も多く、特に目を引くのが、かつてギリシャ正教の神学校であった「ヘイベリアダ神学校」です。その壮麗な建物は島のシンボルの一つとなっています。その他にも、トルコの初代大統領であるムスタファ・ケマル・アタテュルクの私邸を改装した「イノニュ博物館」など、歴史的な見どころが点在しています。また、SNSでは一時期「猫の天国」として話題になったほど猫が多いのも特徴。センスの良いレストランやカフェなども沢山あるので一日中楽しめるのが特徴です。

文豪が愛した文学の島 ブルガズ島

ブルガズ島に点在するレンタサイクルショップ
ブルガズ島に点在するレンタサイクルショップ

"プリンスィズ諸島で3番目に大きな島が「ブルガズ島」です。トルコ語で「城の島」を意味するこの島は、古代には城塞があったことに由来します。ブルガズ島は、その素朴で落ち着いた雰囲気、そしてトルコの著名な短編作家であるサイト・ファーイク・アバスヤヌクが愛した島として知られています。サイト・ファーイクの家は現在、博物館として公開されており、彼の生活や作品に触れることができます。島の形状は比較的丸く、中央には「旗の丘」と呼ばれる丘があり、頂上からは素晴らしい眺望が楽しめます。特に夕暮れ時には、観光客はイスタンブール市内に帰るので海に沈む夕日がロマンチックな雰囲気を演出し、とっても幻想的。ブルガズ島は、静かに散策を楽しみ、地元の人々の暮らしに触れたい方におすすめの島です。こちらも博物館に行くには自転車が必須なので体力に余裕がない方や、アイランドホッピングを楽しみたい場合はレンタサイクルで快適に移動しましょう。 "

市内から最も近い開放的な島 クナル島

フェリーから見たクナル島
フェリーから見たクナル島

イスタンブール本土に最も近いのが、この「クナル島」。トルコ語で「ヘナの島」という意味を持ち、かつて鉄や銅の採掘が行われていたため、土壌が赤みがかってるのが特徴です。他の島々と比較して木々が少ないため、より開放的な景観が特徴です。クナル島は、市内から1時間以内と交通の便が良いことから日帰り旅行にも最適で、短い時間で島の雰囲気を楽しむことができます。歴史的にはビザンツ帝国の流刑地として使われた歴史があり、ローマヌス4世ディオゲネス皇帝もこの島に流されたと言われています。島内にはアルメニア教会やギリシャ正教の修道院など、様々な宗教施設が点在しており、多様な文化が共存してきた歴史を感じさせます。また、素朴ながらも魅力的なビーチがあり、夏には多くの人々が海水浴を楽しみに訪れます。島の高台からはイスタンブールのパノラマビューが広がり、特に夕暮れ時の景色は息をのむ美しさです。

プリンセス諸島へのアクセスとまとめ

ボラポラス海峡
ボラポラス海峡

プリンスィズ諸島へのアクセスは、イスタンブールのカバタシュ(Kabataş)、ボスタンジュ(Bostancı)またはエミノニュ(Eminönü)などから運行しているフェリーを利用するのが最も安く便利なのでオススメです。特に週末や夏場は観光客だけではなく、イスタンブール市民で混雑するため、少なくとも20分程度前には到着することをおすすめします。尚、交通にクレジットカードは使用できなかったのでイスタンブール版交通カード「イスタンブールカード」を事前に購入しましょう。自動車が禁止されている島では、電気自動車や自転車、徒歩での移動が主流です。島までのフェリーや島内は5月上旬でも非常に日当たりが良いので、日差し対策を忘れずに。イスタンブールのもう一つの顔を発見できるプリンスィズ諸島は、歴史、自然、そして穏やかな時間が流れる魅力的な場所です。次のイスタンブール旅行では、ぜひこの美しい群島を訪れて、心癒される体験をしてみてはいかが?

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