歴史と芸術が息づく、ウィーンの5大観光名所を巡る旅

オーストリアの観光地の夜景

ヨーロッパ屈指の文化都市、ウィーン。中世の面影を残す街並みの中に、王朝の栄光と芸術の粋が凝縮された名所が点在しています。今回は、ウィーン観光の中でも特に外せない5つのスポットを紹介します。街の象徴ともいえる「シュテファン大聖堂」、音楽の都を象徴する「ウィーン国立歌劇場」、ハプスブルク帝国の威光を感じる「ホーフブルク宮殿・新王宮」、名画と庭園が調和する「ベルヴェデーレ宮殿」、そして重厚な佇まいを誇る「オーストリア国会議事堂」。どの場所も歴史と美が融合し、旅人の心を深く揺さぶります。シュテファン大聖堂とホーフブルク宮殿は、「ウィーン歴史地区」として世界遺産に登録されているエリア内に位置する、象徴的かつ中心的な建築物です。

目次

荘厳な白亜の建築、オーストリア国会議事堂

荘厳な白亜の建築、オーストリア国会議事堂
オーストリア国会議事堂

ウィーンのリンク通りのひときわ堂々とした建物が「オーストリア国会議事堂」です。古代ギリシャの神殿を彷彿とさせる白い列柱と三角破風(ペディメント)、そして正面にそびえるアテナ像が実に印象的で、まるでヨーロッパの歴史の一部に触れたような気持ちになります。19世紀後半に建設されたオーストリア国会議事堂は、ハプスブルク帝国時代に設計され、今も現役で国民議会(下院)と連邦議会(上院)の本会議場として使われています。設計はオーストリアの建築家テオフィル・フォン・ハンセンで、当時の「民主主義の象徴」としてギリシャ様式が選ばれたのだそうです。建物の正面には、知恵と正義を司るギリシャ神話の女神アテナの像が立ち、その足元には噴水と精緻な彫像が配置されています。周囲は整備された広場で、近くには市庁舎やブルク劇場などもあるので、歩いて観光するのにもぴったりです。

【オーストリア国会議事堂】

住所:Dr. Karl‑Renner‑Ring 3, 1017 Wien

アクセス:トラムU2/U4「Schottentor」駅などより徒歩数分

営業時間:9時~18時(月・水・金)9時~21時(木)9時~17時(土)※日休館

公式サイト:https://parlament.gv.at/en

名画と建築美で魅了するベルヴェデーレ宮殿

名画と建築美で魅了するベルヴェデーレ宮殿
ベルヴェデーレ宮殿

ウィーン観光でぜひ足を運びたいのが、「ベルヴェデーレ宮殿」。街の喧騒から少し離れた場所に広がるこのバロック様式の宮殿は、もともとはオーストリアの英雄とされる軍人プリンツ・オイゲンの夏の離宮だった場所です。「ベルヴェデーレ(Belvedere)」という名はイタリア語で「美しい眺め」を意味します。宮殿は「上宮(Oberes Belvedere)」と「下宮(Unteres Belvedere)」、「庭園(ベルヴェデーレ庭園)」の三部構成で成り立っています。建築自体も見応えがあり、宮殿の白いファサード、対称的に配置されたバロック庭園、そして池に映る宮殿のシルエットは、ウィーンを代表する景観のひとつとして多くの観光客を魅了しています。特に「上宮」は、内部がオーストリア美術館として整備されていて、グスタフ・クリムトの《接吻》が代表的な作品の一つです。館内はクリムトだけでなく、エゴン・シーレやココシュカなど、19~20世紀のオーストリア画壇の巨匠たちの作品がずらりと並んでいます。

【ベルヴェデーレ宮殿】

住所:Prinz Eugen‑Straße 27, 1030 Wien

アクセス:トラム D線:「Schloss Belvedere」駅下車すぐ

営業時間:9時~19時(上宮)、10時~18時(下宮)

公式サイト:https://belvedere.at/en

PR
PR
PR

ウィーンの心臓、シュテファン大聖堂

ウィーンの心臓、シュテファン大聖堂
シュテファン大聖堂

シュテファン大聖堂(Stephansdom)は、オーストリア・ウィーン旧市街の中心部にそびえるゴシック建築の傑作で、ウィーンを象徴するランドマークとして知られています。私自身もオーストリアの旅で一番印象に残っている建物はシュテファン大聖堂です。建設は12世紀に始まり、長い年月をかけて現在の姿に整えられました。特に目を引くのは、カラフルなモザイク屋根と、高さ137メートルを誇る南塔(シュテフル)。この塔には階段で登ることができ、ウィーンの街並みを一望できる展望スポットとしても人気です。大聖堂内部も荘厳で、ステンドグラスの美しさやバロック様式の祭壇、歴代皇帝の墓所など、歴史と宗教的芸術の融合が感じられます。地下には「カタコンベ(納骨堂)」が広がっており、ウィーンの歴史を物語る静かな空間です。第二次世界大戦中に一部焼失したましたが、市民と職人たちの手で見事に復元されました。ウィーン市民にとっては、単なる観光地ではなく、精神的な支柱としての意味合いも深い場所です。 シュテファン大聖堂は「ウィーン歴史地区」として世界遺産に登録されている象徴的な建物です。

【シュテファン大聖堂】

住所:Stephansplatz 3, 1010 Wien

アクセス:地下鉄 U1 / U3「Stephansplatz」駅すぐ

営業時間:6時~22時(月~土)、7時~22時(日・祝)

公式サイト:https://stephanskirche.at/

ハプスブルク家の栄光に触れるホーフブルク宮殿

ホーフブルク宮殿
ホーフブルク宮殿

ウィーンの中心部に広がる壮大な王宮群「ホーフブルク宮殿」は、かつてハプスブルク帝国の皇帝たちが居住した宮殿であり、その建築は13世紀から20世紀にかけて段階的に拡張されました。その中でも特に目を引くのが、宮殿の最も新しい部分である「新王宮(Neue Burg)」です。新王宮は、19世紀末から20世紀初頭にかけて建設されたバロック・リヴァイバル様式の建物で、半円形に広がる堂々としたファサードがヘルデンプラッツ(英雄広場)を囲むように構えています。ナチス時代にはヒトラーがこの場所で演説を行ったことでも歴史的に知られていますが、現在では平和と芸術の拠点として再生されています。内部にはいくつもの博物館が入っていて、特におすすめは「武器・甲冑博物館」や「エフェソス博物館」、そして「音楽の家」など。展示品はどれも圧倒的な質と量で、歴史好きはもちろん、美術・音楽に関心のある人にも深く刺さる内容です。

【ホーフブルク宮殿】

住所:Heldenplatz, 1010 Wien

アクセス:トラム/バス:1、2、D、71系統の「Burgring」「Michaelerplatz」下車すぐ

営業時間:9時~17時30分 ※施設により異なる

公式サイト:https://sisimuseum-hofburg.at/

音楽の殿堂、ウィーン国立歌劇場

音楽の殿堂、ウィーン国立歌劇場
ウィーン国立歌劇場

ウィーン国立歌劇場(Wiener Staatsoper)は、オーストリアのウィーンにある世界最高峰のオペラハウスのひとつであり、クラシック音楽と舞台芸術の都ウィーンを象徴する存在です。1869年に開館し、その記念すべきこけら落とし公演はモーツァルトの《ドン・ジョヴァンニ》でした。建物はネオルネッサンス様式で設計され、外観の優雅さもさることながら、内装はシャンデリアや大理石が贅沢に用いられたきらびやかな空間。赤と金の配色が印象的な観客席ホールは、まさに王侯貴族の世界に迷い込んだかのような気分にさせてくれます。現在も年間を通じてオペラやバレエ、クラシックコンサートが数百回上演されていて、世界中の音楽ファンが訪れる憧れの舞台です。公演はリーズナブルな立ち見席から予約制のボックス席まで幅広く用意され、初めての人でも気軽に芸術に触れられる点も魅力。昼間には建物内部を巡るガイド付きツアーも行われ、舞台裏や楽屋、皇帝専用の控え室などを見学できます。夜はこのオペラ座で音楽鑑賞するのもいい経験になると思います。

【ウィーン国立歌劇場】

住所:Opernring 2, 1010 Wien

アクセス:トラム:1、2、D、62、71系統 「Opernring/Karlsplatz」すぐ

公式サイト:https://wiener-staatsoper.at/en/

SELECTION―セレクション―