ポルトガルの世界遺産シントラの観光名所を紹介

ポルトガルの首都リスボンから電車でおよそ40分。緑豊かな山あいに広がる町シントラは、王族や貴族の別荘地として栄えた歴史を持ちます。中世の宮殿や城、幻想的な庭園が点在する風景は独特で、1995年に「シントラの文化的景観」としてユネスコ世界遺産に登録されました。リスボンとは違う少し長閑な雰囲気を味わえる場所なので、是非来てほしいです。今回紹介する場所は午前中にリスボンを出れば全て1日で全部周ることができます。
駅構内の装飾も綺麗なシントラ駅

リスボンからシントラ観光へ向かう際、多くの人が利用する玄関口がシントラ駅です。こじんまりとした駅舎ですが、外観は白壁に赤レンガを組み合わせた可愛らしいデザインで、初めて降り立つと街の雰囲気が一気に伝わってきます。駅舎の中は、ポルトガルらしいアズレージョ(装飾タイル)で装飾されてとても綺麗です。青や黄色を基調にした絵柄は、風景や幾何学模様を描いていて、電車を降りてから見入ってしまうほどでした。小さな駅ながらも美術館のような趣があり、写真を撮る旅行者も少なくありません。駅前からはペーナ宮殿やレガレイラ宮殿、ムーアの城跡へ向かうバスが出ているため、観光の起点として非常に便利です。
町のランドマーク、シントラ宮殿

シントラ宮殿は旧市街の中心に位置する王宮で、白い外壁と2本の巨大な円錐形の煙突が目印です。イスラム時代の宮殿を基盤に増改築が重ねられ、ゴシックやマヌエル様式、ムデハル様式が融合しています。内部にはアズレージョ(装飾タイル)で飾られた部屋が多く、特に「白鳥の間」や「紋章の間」などは見どころです。王族の居住空間が残されており、豪華さだけでなく生活の痕跡が感じられる点が印象的です。シントラを歩いていると街のどこからでも見える煙突は、町のランドマークとして存在感があります。観光の時間としては1時間あれば足りると思います。
【シントラ宮殿】
住所:Largo Rainha Dona Amélia, 2710-616 Sintra
アクセス:シントラ駅から観光バス(434番または435番)で「National Palace of Sintra」下車
営業時間:9時30分~18時30分
公式サイト:https://www.parquesdesintra.pt/en/parks-monuments/national-palace-of-sintra/
見どころが多いレガレイラ宮殿

レガレイラ宮殿は、19世紀末から20世紀初頭にかけて、裕福な実業家アントニオ・カルヴァーリョ・モンテイロによって建てられた邸宅です。設計はイタリア人建築家ルイジ・マニーニが手がけ、建物と庭園全体に神秘主義やフリーメイソンの象徴を取り入れた独特の空間が広がっています。特に有名なのが「イニシエーションの井戸」と呼ばれる地下へと続くらせん階段で、深さ約27メートルの構造を歩きながら降りると、下にはトンネルが張り巡らされています。これらの地下通路は庭園内の各所へとつながり、探検するように巡れるのが魅力。邸宅自体はネオ・マヌエル様式で統一され、壁面の細やかな装飾やステンドグラスが目を引きます。さらに敷地内には幻想的な礼拝堂や小さな塔、人工の洞窟や噴水も点在していて見どころが多いです。観光の時間としては1時間30分は確保しておいてください。
【レガレイラ宮殿】
住所:Rua Barbosa du Bocage 5, 2710‑567 Sintra
アクセス:シントラ宮殿から700m程です。
営業時間:9時30分~19時30分(4月~9月)、9時30分~18時30分(10月~3月)
ハイキング感覚で楽しめるムーアの城跡

シントラの山頂付近に残るムーアの城跡は、8〜9世紀にこの地域を支配していたイスラム勢力によって築かれました。山の尾根に沿って延びる石造りの城壁は長大で、いくつもの見張り塔が点在しています。階段を登って城壁の上に立つと、シントラの街並みやペーナ宮殿、大西洋まで見渡せる絶景が広がります。内部には建物の遺構は少ないものの、岩山に築かれた防御拠点としての姿を今に伝えています。観光には歩きやすい靴が必須で、観光客は軽いハイキング気分で訪れることが多いです。観光の際の時間としては約1時間程です。
【ムーアの城跡】
住所:Estrada da Pena, 2710‑609 Sintra
アクセス:バス434番で、「Moorish Castle」下車から徒歩10分程
営業時間:9時30分~18時※冬季は10時から
公式サイト:https://www.parquesdesintra.pt/en/parks-monuments/the-moorish-castle
他にはないカラフルな宮殿、ペーナ宮殿

シントラの高台に建つペーナ宮殿は、19世紀に完成した色鮮やかな宮殿で、赤や黄色の外壁が一際目を引きます。建築様式はゴシック、マヌエル様式、イスラム風など多様で、ロマン主義建築の代表例とされています。私自身、ヨーロッパの城や教会は色々と見てきましたが、こんなにカラフルな外観は初めてで、まるでテーマパークの建物のように思いました。なぜこんなに特徴的な外観かというと、芸術愛好家で、強い美的感覚とロマン主義思想を持っていた当時の王(フェルディナンド2世)の「おとぎ話のような外観」にしたいという強い思いに応えてドイツ人建築家エスシュヴェーゲが設計を手がけたためです。内部には王族が実際に使用していた家具や調度品が残され、当時の暮らしを感じることができます。周囲は広大なペーナ公園として整備され、散策路を歩くと森の中から宮殿が姿を現す瞬間に出会えます。さらに高台にあるため展望も素晴らしく、旧市街や大西洋まで見渡せます。観光客には内部見学と庭園散策を合わせて訪れるコースが人気で、1〜2時間かけてじっくり回るのがおすすめです。ペーナ宮殿は、ペーナ公園の中にあるので、ペーナ公園まではバスで行けますが、バス停から宮殿までは10分程歩きます。宮殿までの有料のシャトルバスも出ています。
【ペーナ宮殿】
住所:Estrada da Pena, 2710-609 Sintra
アクセス:バス434で「Pena Palace」下車が一般的
営業時間:9時30分~18時30分
公式サイト:https://www.parquesdesintra.pt/en/parks-monuments/park-and-national-palace-of-pena/