ブルガリアを代表する世界遺産「ボヤナ教会」と「リラ修道院」を1日で観光

ブルガリアの首都ソフィアから、比較的短時間でアクセスできる世界遺産に「ボヤナ教会」と「リラ修道院」があります。どちらも個別に訪れることは可能ですが、効率よく1日でまわる方法を調べていた際に、旅行予約サイト「klook」で「リラ修道院・ボヤナ教会 日帰りツアー(ソフィア発)」というのを見付けたので参加してきました。今回は、そのツアーで訪れた際の様子を紹介します。
観光バスの発着はアレクサンドル・ネフスキー大聖堂

私が参加した「Klook」の日帰りツアーでは、集合場所はアレクサンドル・ネフスキー大聖堂でした。広い駐車場があり、他のツアー会社のバスも多数発着するため、当日もバスが多く並んでいました。出発は8時53分、集合は15分前と案内されていましたが、どのバスが自分のツアーか探すのに少し手間取ったので、それよりも早めに到着することをおすすめします。今回のように、バスにツアー会社のロゴが書かれていない場合もあるため、バス前面の行き先表示や、運転手・係員に確認を取りながら、間違えないように注意してください。私はオンラインで予約していたので、スマホで予約完了時に表示されるQRコードを提示するだけで、スムーズに乗車できました。
静かで小さな入口

先に到着をしたのはブルガリアの首都ソフィアの南西約8km、ヴィトシャ山のふもとに位置するボヤナ教会でした。1979年に世界文化遺産に登録されました。長閑で樹々が多く心地よい空間ではあるんですが、普通の公園のような雰囲気でもあります。写真は入口のものですが、素朴な印象です。出発場所のアレクサンドル・ネフスキー大聖堂からは交通状況にもよりますが、30分以内で到着します。バスを降りる際に出発時間を伝えられるので、その時間を守るようにしましょう。
ブルガリアの世界遺産ボヤナ教会

ボヤナ教会は、入口がある方向(左側)が19世紀、中央部分が13世紀、奥(右側)が11世紀と、3つの時期に増築を重ねて現在の形になっています。外側から見ただけでは分かりにくいものの、よく観察すると各時代で使用された素材や色合いに微妙な違いがあります。教会の横には、ブルガリア王フェルディナンド1世の妃エレオノーレ・ロイス・ツー・ケストリッツ(Eleonore Reuss of Köstritz, 1860–1917)の墓があります。実はボヤナ教会は取り壊す計画があったそうですが、彼女が教会の土地の購入や寄付などで存続や保存に尽力をし、遺言に従ってこちらに埋葬されました。
世界遺産の登録理由は教会内部のフレスコ画

世界遺産に登録された理由でもある、繊細で写実的なフレスコ画に囲まれた空間が、コンパクトなボヤナ教会の内部に広がっています。保存状態を保つために厳格な管理が行われ、見学は約10名ずつ、1回10分以内と人数と時間に制限がありました。照明も特別に設計され、2018年には内部の光環境が刷新されました。新たに導入された低発熱型の照明は、絵画の劣化を抑えながらも細部がはっきり見えるよう配慮されています。実際に私も中に入りましたが、通常は内部は真っ暗で絵画の説明をする際だけ照明を付けるという徹底ぶりでした。最も注目されているのは、1259年に描かれた壁画群です。これはビザンティン様式を基礎にしつつも、当時としては卓越した写実性を示す点が注目されています。多くの人物画には個別の表情があり、視線や眉の動き、頬の陰影、衣服のひだの細部に至るまで丁寧に描写されていると評価されています。また、聖母マリアやキリスト、聖ニコラウスらの聖人像に加え、寄進者の肖像も含まれているのが特徴です。中が撮影禁止だったのは残念でしたが、フレスコ画の保存状態のためにも仕方ないことだなと思いました。
【ボヤナ教会】
住所:3 Boyansko Ezero Street, Sofia 1616
アクセス:ソフィア中心部から車で20分~30分
営業時間:9時30分~18時(4月~10月)、9時~17時30分(11月~3月)
印象的なストライプ模様、世界遺産リラ修道院

ブルガリア最大の修道院であるリラ修道院は、10世紀に隠者イヴァン・リルスキによって創設されたとされ、ソフィアから南へ約120km・標高1,100メートルのリラ山脈の中にあります。修道院は高い石塀に守られ、内部には中庭を囲むようにして聖堂、僧房、食堂などが整然と配置されています。中でも特徴的なのが、アーチ状の回廊と幾何学的な白黒模様の外壁で、中央の赤いドーム屋根との調和が独特の美しさを生んでいます。リラ修道院は、ブルガリア正教の中心的存在であると同時に、文化・建築の価値が認められ、1983年にユネスコの世界文化遺産に登録されました。私は8月中旬にブルガリアに訪れたのですが、何カ所も観光した中でリラ修道院が観光客が一番多かった場所です。教会の中の見学はできますが、写真撮影はできませんでした。
壁一面には美しいフレスコ画

リラ修道院の回廊は、壁から天井に至るまでびっしりとフレスコ画が描かれ、その壮麗さに圧倒されます。内容は、キリストや聖母マリア、使徒、聖人たちの肖像に加え、「最後の審判」や「天国と地獄」などの場面が含まれ、視覚的に教義を伝える役割を担っていました。壁画にはギリシャ語や教会スラヴ語の文字が添えられており、人物の名前や場面の説明が記されています。これらの壁画は19世紀半ばに描かれたもので、ブルガリア正教の宗教画として高い保存状態を保っています。
修道院の敷地内には複数の博物館も

リラ修道院には複数の博物館があり、宗教的遺品だけでなく、印刷機、食器、衣類、調理器具など、修道士の生活に関わるさまざまな品が展示されています。寄進された工芸品や書物も展示されていて、修道院が信仰だけでなく教育や経済の拠点でもあったことがわかります。こうした展示物は、ブルガリア正教の文化や地域社会との関係を知るための貴重な資料です。写真は、修道院の敷地内にある修道院経済博物館の入口です。
山の景色が鮮明な修道院の出口

上の写真はリラ修道院の出口付近の様子です。こちら側からは山々の景色がより鮮明に広がり、観光の合間に気分を落ち着けることができます。周辺にはお土産物屋や屋台、レストランが並んでいて、私はここで昼食をとりました。出口とはいっても再入場が可能なので、食事や買い物のあとにもう一度修道院に戻ることもできます。観光を終えたら、集合時間までにバスへ戻りましょう。荷物はバスに置いたままにできますが、貴重品だけは必ず持ち歩いた方が安心です。集合時間になると、約2時間かけて最初の集合場所であるアレクサンドル・ネフスキー大聖堂へ向かい、予定時刻の17時頃に到着して日帰りツアーは終了しました。klookで改めて今回紹介した「リラ修道院・ボヤナ教会 日帰りツアー(ソフィア発)」の料金について調べてみましたが、送迎のみで3488円~になっていました。[※2025年9月23日確認]ブルガリアは配車アプリのBOLTが使えますが、ボヤナ教会でタクシーを見付けられるか心配だったのと、費用の面でみてもツアーに参加してよかったと思います。
【リラ修道院】※2025年9月確認
住所:Kyustendil district, Bulgaria 2643
アクセス:ソフィア中心部から車で約1時間45~2時間15分
営業時間:6時30分~18時※6月~9月は19時30分迄