少し歩けばまた世界遺産、マカオの街歩き

マカオの世界遺産の記事ヘッド画像

マカオは16世紀以降のポルトガル統治の面影を色濃く残すエリアが今も残り、その歴史的な街並みが高く評価され2005年に「マカオ歴史市街地区(Historic Centre of Macao)」の登録名で世界遺産に登録されました。22の歴史的建造物と8つの広場を合わせた計30カ所がその構成要素になっているので、セナド広場から散策を始めれば、徒歩で数多くの世界遺産を周れます。今回は、まだ取り上げていない世界遺産の構成要素の6つを紹介していきます。マカオの世界遺産30か所は、1日で全部周るのはやや厳しいですが、規模が大きくないものが多いので、2日あれば十分周れます。

目次

『封神演義』に登場する少年神を祀るナーチャ廟(哪吒廟)

ナーチャ廟
ナーチャ廟

「ナーチャ廟」は、1888年に建立された小規模な道教寺院で、子どもの守護神として信仰される哪吒(ナーチャ)を祀っています。哪吒は中国の民間伝承や『封神演義』に登場する少年神で、魔を退ける勇敢な存在として知られ、特に子どもの健康と安全を願う人々から篤く信仰されてきました。寺院はわずか8メートル四方ほどの小さな建物で、灰色の瓦屋根に赤い木柱を配した質素ながら力強い佇まいが特徴です。内部の祭壇には哪吒の像が安置され、線香を手向ける参拝者が後を絶ちません。廟の規模は小さいものの、建設当時のマカオの庶民信仰を色濃く映し出し、歴史的・文化的価値が高く評価されています。マカオの世界遺産には、写真の左側のような案内板があったので、これを目指して観光をすると便利でした。規模が小さいのも多いですが、スタンプラリーのように周っていくと楽しいですよ。『封神演義』の哪吒ということで、キャラクターの読み方は違いますが、1990年後半から少年雑誌で連載していた漫画を思い出したりもしました。

【ナーチャ廟】※2025年9月確認

住所:No. 6 Calçada de S. Paulo(聖ポール天主堂跡に隣接)

アクセス:セナド広場から徒歩7~10分

営業時間:8時~17時

公式サイト:www.macaotourism.gov.mo/ja/sightseeing/temples/na-tcha-temple

実業家の歴史のある邸宅、盧家屋敷

盧家屋敷
盧家屋敷

「盧家屋敷」は、1889年に建てられた中国人実業家ルー・カウの旧邸宅で、マカオに残る伝統的な住宅建築を代表する文化財です。彼は19世紀後半のマカオ経済を支えた人物のひとりであり、その邸宅は当時の富裕層の暮らしぶりを今に伝えています。建物は中国伝統建築を基盤としながらも、西洋の装飾様式も取り入れられ、瓦屋根や木彫の梁とともに、ヨーロッパ風の窓枠やアーチも共存しています。この東西融合の意匠はマカオ独特の歴史背景を象徴しています。屋敷は二階建てで、複数の中庭や客間、応接室などを備え、訪れる人は往時の生活空間をリアルに感じ取ることができます。内部には精巧な木彫や石彫の装飾が残され、細部まで芸術性の高さを味わえるのも魅力です。マカオの世界遺産は観光時間が短い場所が多いですが、盧家屋敷は30~45分を目安にしてください。

【盧家屋敷】※2025年9月確認

住所:Travessa da Sé、no. 7

アクセス:セナド広場から徒歩3~5分

営業時間:9時~18時(17時30分以降は入場不可、月曜休館。祝日を含むその他の曜日は開館)

公式サイト:www.wh.mo/LouKau/cn/content.aspx?page=intro

「受難行列」の出発地、聖オーガスティン教会

聖オーガスティン教会
聖オーガスティン教会

「聖オーガスティン教会」は、1586年にスペインのアウグスティノ修道士によって建てられた、マカオでも歴史の古いカトリック教会のひとつです。現在の建物は19世紀に大規模な改修を受けたもので、白壁と淡い黄色を基調とした外観、そしてバロック様式を思わせるファサードが特徴です。内部はシンプルながら荘厳な造りで、木造の天井や精巧な祭壇が印象的。祭壇中央には聖母マリア像が置かれています。「聖オーガスティン教会」は現在でも、「受難行列」と呼ばれるカトリック行事で重要な役割を担い、四旬節の時期になるとキリスト像を担いだ行列がここから出発し、マカオの街を練り歩きます。

【聖オーガスティン教会】※2025年9月確認

住所:No.2 Santo Agostinho Square

アクセス:セナド広場から徒歩約5分

営業時間:10時~18時

公式サイト:www.macaotourism.gov.mo/ja/sightseeing/churches/st-augustines-church

著名人も眠るプロテスタント墓地

プロテスタント墓地・教会
プロテスタント教会

「プロテスタント墓地」は、1821年に整備されたマカオ最古のプロテスタント墓地です。当時のマカオはカトリック国家ポルトガルの領土であったため、非カトリック教徒の埋葬は禁じられていました。しかし外国人居留者の増加を背景に、この墓地が設けられ、のちに小さな教会も併設されました。白壁と緑の窓枠が印象的な教会建築はシンプルながらも静謐な美しさがあります。墓地には多くの外国人宣教師、商人、外交官などが眠り、その中には中国で英語教育に尽力したロバート・モリソンや、画家ジョージ・チザムといった著名人も含まれます。世界遺産の案内板には、「プロテスタント墓地」として出ていました。

フランシスコ・ザビエルの腕の骨片が安置されている聖ヨセフ聖堂

聖ヨセフ聖堂
聖ヨセフ聖堂

1728年にイエズス会がマカオで宣教師を育成する拠点として聖ヨセフ修道院ができ、1758年に隣接するかたちでバロック様式のカトリック教会である「聖ヨセフ聖堂」が建てられました。ポルトガル統治下で宣教師を育成するために設立された神学校に付随して建てられ、長年にわたりアジア各地に布教する宣教師たちを送り出してきた歴史を持っています。外観は淡い黄色と白を基調とし、堂々としたバロック様式のファサードが特徴的です。内部は高い天井と荘厳な祭壇を備え、中央の祭壇には聖ヨセフ像が祀られています。また、聖ヨセフ聖堂には「聖フランシスコ・ザビエルの腕の骨片」が安置されていることでも知られています。

【聖ヨセフ聖堂】※2025年9月確認

住所:Rua do Seminário

アクセス:セナド広場から徒歩約10分

営業時間:10時~17時

公式サイト:www.macaotourism.gov.mo/ja/sightseeing/churches/st-josephs-seminary-and-church

アジア初の西洋劇場ドン・ペドロ5世劇場

ドン・ペドロ5世劇場
ドン・ペドロ5世劇場

「ドン・ペドロ5世劇場」は、1860年に完成した中国初の西洋式劇場です。当時のポルトガル国王ペドロ5世を称えて建設された建物で、白と淡いミントグリーンを基調とした外観が特徴です。ネオクラシック様式の優美なデザインは、ポルトガル統治時代の文化的影響を色濃く伝えています。館内は約500席の観客席を備え、19世紀から20世紀にかけてオペラ、バレエ、演劇などが盛んに上演され、ヨーロッパとアジア文化の交流拠点となりました。舞台装置や客席の配置は本格的で、当時の西洋式劇場の姿をほぼそのまま残している点も見どころです。現在では公演の機会は少ないものの、内部見学もできます。

【ドン・ペドロ5世劇場】※2025年9月確認

住所:Santo Agostinho Square

アクセス:セナド広場から徒歩約5分、聖オーガスティン教会のすぐ隣

営業時間:10時~18時(火曜休館、祝日は開館)

公式サイト:hwww.macaotourism.gov.mo/ja/sightseeing/macao-world-heritage/dom-pedro-v-theatre

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