ヘルシンキから日帰り旅行もできるフィンランド第三都市タンペレ
フィンランド中南部に位置するタンペレは、ナシヤルヴィ湖とピュハヤルヴィ湖という二つの大きな湖に挟まれた美しい街です。かつては工業都市として発展しましたが、現在は自然と文化が調和する落ち着いた雰囲気が魅力。歴史的な赤レンガ建築と北欧デザインの街並みの景観が綺麗で、散策しているだけでも楽しいです。首都ヘルシンキからは鉄道で約1時間30分、日帰りでも訪れられるアクセスの良さも人気の理由。
タンペレ大聖堂のフレスコ画は必見

タンペレ市中心部に位置するタンペレ大聖堂は、建築家ラルス・ソンクの設計で1907年に完成したフィンランド国教会(ルーテル派)の教会です。花崗岩を用いた重厚な外観と鮮やかな色の屋根が目を引きます。外観もインパクトがありますが、注目は魅力的なフレスコ画で彩られた内部です。特に有名なのは大聖堂の内部をぐるりと囲うように描かれた「花のガーランドを運ぶ少年たち」や、右側の壁面にある骸骨がガーデニングをしている様子を描いた「死の庭園」、二階のギャラリー部にある二人の少年が担架のようなものに天使を乗せて運んでいる様子を描いた「傷ついた天使」などです。正面の祭壇の後ろに描かれたフレスコ画はマグヌス・エンケルの作品ですが、教会内部の色彩豊かステンドグラスや天井の天使の翼と蛇のフレスコ画も含めて大聖堂の内部の芸術的な作品の多くは、画家ヒューゴ・シンベリによるものです。大聖堂の内部は鮮やかなフレスコ画がステンドグラス越しの光に照らされて幻想的な雰囲気です。
【タンペレ大聖堂】※2025年10月更新
住所:Tuomiokirkonkatu 3b, 33100 Tampere
アクセス:タンペレ中央駅(Tampere Central Station)から 徒歩約10分
営業時間:11時~15時
WEBサイト:https://tampereenseurakunnat.fi/en/lutheran_church_in_tampere/churches_and_chapels/tampere_cathedral
優雅な建築美タンペレ旧市庁舎

1890年に完成したタンペレ旧市庁舎は、ネオルネサンス様式の優雅な建築として市の中心部に佇んでいます。建築家ジョージ・シュルソンの設計によるもので、赤レンガと白い装飾のコントラストが印象的です。かつては市の行政の中心として使用されていましたが、現在は主に市の公式レセプションや特別行事の会場として利用されています。特定の時期を除いて一般公開はされていないですが、正面の階段や石造りの柱、細部に施された装飾は見応えがあり、写真を撮る旅行者も多く見かけます。周囲にはカフェやレストランが点在し、建物を眺めながらゆったりと過ごす時間も魅力のひとつです。夜になると建物は柔らかな光に包まれ、昼間とは異なる落ち着いた表情を見せてくれます。
【タンペレ旧市庁舎】※2025年10月更新
住所:Keskustori 10, 33200 Tampere
アクセス:タンペレ市中心部の広場「ケスクストリ(Keskustori)」に面しています。
営業時間:一般公開されていません。ガイドツアーで公開されます。
WEBサイト:www.seniorimenot.fi/en-FI/page/68b1b85906c6fa0006818849/guided-tour-of-the-old-city-hall
工業都市だった時代に労働者のために建てられた教会

フィンランド第3の都市、タンペレはかつて「北のマンチェスター」と呼ばれた工業都市です。その象徴のひとつが、19世紀にスコットランド人ジェームズ・フィンレイソンによって設立された綿紡績工場でした。そしてその工場敷地内に、労働者のために建てられたのがフィンレイソン教会です。フランク・ルドヴィグ・カロニウスの設計で1879年に完成しました。もともとは工場従業員のためのルーテル教会として使われていましたが、現在は主に結婚式や音楽イベントの会場として利用されています。内部は白を基調としたシンプルで清潔感のある空間で、それほど大規模な教会ではないですが心落ち着く雰囲気を保っています。工場跡地は現在、「フィンレイソン・エリア」として再開発され、カフェやギャラリー、映画館が立ち並ぶカルチャーゾーンとなっています。
【フィンレイソン教会】※2025年10月更新
住所:Puuvillatehtaankatu 2, 33210 Tampere
アクセス:タンペレ市中心部のフィンレイソン・エリア内に位置します。中心部からは徒歩圏内です。
営業時間:正確な情報は、タンペレ福音ルター派教会のウェブサイト等で確認してください。
WEBサイト:https://tampereenseurakunnat.fi/kirkko_tampereella/kirkot_ja_kappelit/finlaysonin_kirkko
ピューニッキ展望台に行ったら「ムンッキ」も食べよう

タンペレ西部、湖と森に囲まれたピューニッキの丘には、1929年に建てられたピューニッキ展望台があります。塔の高さは26メートルでそれほど高いということではないですが、丘そのものが標高の高い地形にあるので、展望デッキからはタンペレの市街地と、ナシヤルヴィ湖・ピュハヤルヴィ湖という二つの大きな湖を一望できます。天気の良い日には、果てしなく広がる森林地帯と水面の輝きが対照的に広がり、北欧らしい景観が楽しめます。入場チケットは1階のカフェで購入しますが、ここでもうひとつの名物が味わえます。それが「ムンッキ」と呼ばれるフィンランド伝統のドーナツです。表面にはたっぷりのグラニュー糖がまぶされ、生地にはカルダモンが練り込まれていて、揚げたてはふんわりとした食感と独特の香りが楽しめます。チョコやクリームなどは一切なしのシンプルな味わいで、地元では「ドーナツといえばムンッキ」といってもいいほどに親しまれています。
【ピューニッキ展望台】※2025年10月更新
住所:Näkötornintie 20, 33230 Tampere
アクセス:タンペレ中央駅からは徒歩で約20分から30分
営業時間:9時~20時
WEBサイト:www.munkkikahvila.net/en-gb
北欧有数の高さを誇る展望タワー、ナシンネウラ展望塔

ナシンネウラ展望塔は高さ168メートルを誇る北欧でも有数の展望タワーで、サールカンニエミ・アドベンチャーパーク(Särkänniemi)内にあります。完成したのは1971年で、周囲のナシ湖(Näsijärvi)とピュハ湖(Pyhäjärvi)を一望できる絶好のビュースポットとして観光客だけではなく地元の人々にも親しまれています。地上約120メートルの展望デッキからは、四季折々に変わる湖と森の景色が広がり、特に夕暮れ時にはオレンジ色の光に包まれる幻想的な眺めが人気です。塔の上部にはゆっくりと回転するレストラン「Näsinneula」があり、食事を楽しみながら360度のパノラマを堪能できます。夜にはライトアップされた塔が湖面に映り込み、ロマンチックな雰囲気を演出しています。
【ナシンネウラ展望塔】※2025年10月更新
住所:Laiturikatu 1, 33230 Tampere
アクセス:タンペレ中央広場(Keskustori)から2番または10番のバスに乗車し、「Särkänniemi」バス停で下車
営業時間:11時~23時30分(火~土)11時~18時(日) ※月曜休み

