世界遺産、チリのイースター島にあるモアイ像を観光
誰もが一度は写真や映像で見たことがあると言ってもいいほどの有名な石像のモアイ像があるイースター島はチリの首都のサンティアゴから飛行機で5時間30分も離れた絶海の孤島です。移動時間がかかるのでイースター島観光の際には2泊3日以上の予定を組むことが一般的です。今回は世界遺産にも登録をされているイースター島のモアイ像の観光について紹介します。
イースター島観光の拠点ハンガ・ロア村

イースター島観光の起点となる「ハンガ・ロア村」は、空港から車で約5分の距離にある島内唯一の集落です。村には、島民の暮らしを支えるスーパーマーケットや商店、銀行、郵便局といった生活インフラが集積しています。また、観光客向けのホテル、ロッジ、レストランなども集中しているため、滞在に必要なものはすべてここで揃います。メインストリートであるアタム・テケナ通りを中心に活気が溢れ、海岸線沿いの港からは漁船が出入りする風景も見られます。モアイ観光をする際の現地ツアーのチケットオフィスもこの集落の中にあります。モアイ像の多くは島の40%程を占めるラパ・ヌイ国立公園内にあるのでオープンエリアを除いてこの入場チケットと現地のガイドの同行が必須になります。そのため、ラパ・ヌイ国立公園に点在するモアイ像のスポットを観光するためには現地ツアーなどを利用することが一般的です。
タハイ儀式村はチケット無しで観光できてアクセスも良好

ハンガロア村の西側、海沿いの静かな場所に位置する「タハイ儀式村(Ahu Tahai)」は、イースター島を代表するモアイ像群の一つです。村の中心部からは徒歩で約10~15分ほどとアクセスも良く、日の入り時には水平線に沈む太陽を背景にモアイが浮かび上がる絶景が広がります。この儀式村には3つのアフ(祭壇)があり、特に中央のモアイ像は目に白いサンゴがはめ込まれ、かつての姿を復元した貴重な例とされています。タハイ儀式村はラパ・ヌイ国立公園の一部ではありますが、例外的にチケットやガイド無しでも自由に訪問できるオープンエリアになっています。そのため、イースター島屈指の夕日鑑賞スポットにもなっています。
「世界のへそ」テ・ピト・オ・テ・ヘヌア

イースター島北岸に位置する「テ・ピト・オ・テ・ヘヌア」は、“世界のへそ”という意味を持つ神秘的なスポットです。中央に据えられた丸い石は「マグネティック・ストーン」とも呼ばれ、強い磁気やエネルギーを発すると信じられ、手をかざすと温かさを感じるという体験談もあるので試してみてはいかがでしょうか?この石はトゥ・コ・イ・フアという伝説の王が持ち込んだとされ、島の創世神話と深く関わる聖地の一つです。周囲には4つの小石が並べられ、儀式的な意味を持つとも言われています。遺跡のすぐそばにはモアイ像の倒れた跡が残るアフ・テ・ピト・クラもあり、この一帯が重要な地域だったことを物語っているようです。
アフ・ナウナウ(アナケナ・ビーチ)

イースター島北部に広がるアナケナ・ビーチは、白い砂浜とヤシの木が並ぶ南太平洋らしい風景が魅力の人気スポットです。そのビーチを見守るように立つのが「アフ・ナウナウ」と呼ばれるモアイ像群で、保存状態が非常に良く、目がはめ込まれたモアイや、赤いプカオ(頭飾り)を載せた像も確認できます。考古学的調査により、このモアイ群は砂に長く埋もれていたため風化が少なく、古代の彫刻技術を知るうえで極めて貴重な存在とされています。また、この地はラパ・ヌイの伝説上の祖であるホツ・マツア王が島に最初に上陸したと伝えられる由緒ある場所でもあります。また、アフ・ナウナウもラパ・ヌイ国立公園の一部ですが、入場チケットやガイドの同行も必要ないオープンなエリアです。
15体のモアイ像が並ぶアフ・トンガリキ

アフ・トンガリキは、イースター島最大規模を誇るモアイ像の祭壇であり、15体ものモアイが一直線に並ぶ壮観な光景は島を象徴する存在となっています。それぞれのモアイは高さ約5〜9メートル、重さは最大で約80トンとされ、かつては部族間の権威や信仰の象徴として立てられていました。このアフは19世紀に発生した内戦や津波の影響で倒壊しましたが、1990年代に日本のクレーン会社の支援を受けて修復され、現在の姿に再建されました。そのため日本との縁も深く、多くの観光客がこの場所を訪れています。アフ・トンガリキはラノ・ララクから車で10分ほどの距離にあり、広々とした草原の中に突然現れるその光景は、インパクトが絶大です。
モアイ像の石切り場ラノ・ララク

ラノ・ララクは、イースター島東部に位置する火山であり、モアイ像が彫られた“石切り場”として知られる特別な遺跡です。この場所は、モアイ像の素材である凝灰岩が豊富に採れることから、かつて多くのモアイがここで彫られ、島中へ運ばれていきました。現在も途中まで掘り出されたモアイや、運搬途中に放置されたままの像が数多く残され、まるで時が止まったかのような光景が広がっています。その数はおよそ400体以上にのぼり、最も高いものは20メートル近くにも達するとされます。中には頭だけが地上に突き出しているものもあり、その異様な姿が強い印象を残します。火山の斜面を登ると、火口内部には淡水湖が広がり、自然の静けさの中に古代文明の痕跡を感じることができます。
モアイ像の作り方や作った目的はまだ完全には未解明

イースター島に点在するモアイ像は、圧倒的な存在感と独特の造形で世界中の注目を集めていますが、実は「作った目的」「どうやって作られ、運ばれたのか」については、いまだにすべてが解明されたわけではありません。最有力とされる説は、祖先の霊を象った像として村を見守る「守護」の意味を持ち、モアイには霊力(マナ)が宿ると信じられていたというものです。また、モアイの多くが村の内陸側を向いて立てられていることから、部族の人々を見守る存在だったとも考えられています。一方で、製造・運搬方法については、火山岩を削って彫り出し、木材やロープを使って移動させたとする説や、「歩くように揺らして移動させた」とする実験結果もありますが、どの方法が実際に用いられていたかは断定されていません。モアイ像は、神秘的な姿とともに、今も多くの謎を残す考古学的な世界遺産です。写真は、現地ツアーに含まれることも多い、他とは違い内陸部にあるアフ・アキビのモアイ像です。
【ラパ・ヌイ国立公園】※2025年11月更新
●住所:Chile, Región de Valparaíso, Isla de Pascua, comuna de Hanga Roa, Mataveri s/n
●アクセス:公園内の主要スポットの一つのタハイ儀式村はハンガロア村の中心部から徒歩で約10〜15分
●営業時間:9時~18時
●WEBサイト:www.rapanuinationalpark.com/
※チケットの有効期間は最初の入場日から10日間です。イースター島の滞在中はチケットを持ち歩くことをおすすめします。

