チェコの世界遺産の町チェスキー・クルムロフの観光名所を紹介
チェスキー・クルムロフは、1992年に「チェスキー・クルムロフ歴史地区」としてユネスコ世界遺産に登録された、中世の面影が色濃く残る南ボヘミアの町で、赤い屋根の家々がヴルタヴァ川の蛇行に沿って並ぶその景観は絶景です。チェコの首都のプラハからはバスや鉄道で約3時間とアクセスも良く、プラハからの日帰り旅行先としても人気があります。今回は、チェスキー・クルムロフの観光名所をピックアップして紹介します。
チェスキー・クルムロフ旧市街観光の起点ブディヨヴィツェ門

チェスキー・クルムロフ旧市街の北東端に位置する「ブディヨヴィツェ門(Budějovická brána)」は、17世紀に築かれた堅固な城門で、当時の町の防衛機能を色濃く残す貴重な建造物です。この門は町の外から城や旧市街へと通じる主要な出入り口の一つであり、外敵の侵入を防ぐために厚い石壁と鉄製の門扉が備えられていました。城の周囲を囲う門はかつては全部で9個ありましたが、現存するのはブディヨヴィツェ門のみです。門の周辺には当時の城壁の一部が残り、散策しながら中世の都市構造を感じることができます。現在では観光ルートの起点にもなっており、記念撮影の人気スポットとしても知られています。
チェコの世界遺産の町の象徴チェスキー・クルムロフ城

チェスキー・クルムロフ城は13世紀に築かれ、16世紀には貴族ロジュンベルク家の居城として華やかなルネサンス様式へと改築されました。その後、ハプスブルク家の統治を経て、シュヴァルツェンベルク家が所有するなど、歴代の有力貴族たちによって拡張と整備が重ねられました。現在の姿は、ゴシック・ルネサンス・バロックなど多様な建築様式が融合した歴史の集大成とも言えるものです。城の敷地には五つの中庭、壮麗な礼拝堂、そしてチェコでも数少ない現存するバロック劇場が含まれており、内部見学ツアーではその華やかさと保存状態の良さに驚かされます。展望塔からは旧市街とヴルタヴァ川の蛇行を見渡す絶景が広がり、四季折々に表情を変える風景は訪れるたびに異なる魅力を見せてくれます。
【チェスキー・クルムロフ城】※2025年11月更新
●住所:Zámek čp. 59, 381 01 Český Krumlov
●アクセス:チェスキー・クルムロフ駅から徒歩で約15~18分
●営業時間:城の施設によって異なり冬季は閉鎖されている箇所が多いため公式サイトにて確認してください。
●WEBサイト:www.zamek-ceskykrumlov.cz/cs
幻想的な雰囲気に包まれるマントの橋(クロークの橋)

チェスキー・クルムロフ城の一角に位置する「マントの橋(クロークの橋)」は、正式名称を「Plášťový most」といい、城の建物群を立体的につなぐ三層構造のアーケード橋です。その名の通り、まるでマント(cloak)が城壁にかぶさるような形状からこの名が付きました。建設は17世紀後半に始まり、上層部はかつて貴族や演者が城のバロック劇場へ向かう通路として使用されていました。現在では通路として一般にも開放されており、橋の上から眺めるヴルタヴァ川と旧市街の絶景は、チェスキー・クルムロフ随一の撮影スポットとして人気です。下層には堅牢な石造アーチが連なり、構造美としての見応えも十分。特に朝霧や夕暮れ時に橋の周辺を歩くと、まるで中世の物語に紛れ込んだような幻想的な雰囲気に包まれます。
チェスキー・クルムロフ観光では外せないスポット、聖ヴィート教会

チェスキー・クルムロフの「聖ヴィート教会(Kostel svatého Víta)」は、1407年から1439年にかけて建設されたゴシック様式の教会で、町の宗教的・歴史的な中心として機能してきました。この教会は、当時この地を支配していたロジュンベルク家によって資金提供され、地域社会における信仰の象徴としてだけでなく、領主たちの威信を示す存在でもありました。建物内部には精緻なリブ・ヴォールト構造の天井が広がり、壁面には16世紀以降に追加されたバロックやルネサンス様式の要素も残されています。主祭壇には聖ヴィート(聖ヴィトゥス)の像が祀られ、また側廊にはロジュンベルク家やシュヴァルツェンベルク家の墓碑が並び、地元貴族の影響力を物語っています。聖ヴィート教会は、建築的にも文化的にも価値が高く、チェスキー・クルムロフの町の歴史を知る上で欠かせない存在です。
【聖ヴィート教会】※2025年11月更新
●住所:Horní 156, 381 01 Český Krumlov
●アクセス:チェスキー・クルムロフ駅から徒歩で約12~15分
●営業時間:9時~16時30分(月・水~金)9時~17時(火・土)11時~17時(日)
●WEBサイト:www.ckrumlov.info/cz/pamatky-a-kultura-69-kostel-svateho-vita/
チェスキー・クルムロフ旧市街の中心の広場スヴォルノスティ広場

スヴォルノスティ広場(Náměstí Svornosti)は、チェスキー・クルムロフ旧市街の中心に位置する広場で、町の生活と交流の拠点として長い歴史を持ちます。「スヴォルノスティ」はチェコ語で「調和」「結束」を意味し、この名前が付けられたのは1940年代のこと。それ以前は単に「市広場」と呼ばれていました。広場を囲む建物は、ルネサンスやバロック様式が混在し、特に旧市庁舎やカラフルなファサードの建物が目を引きます。中心には18世紀に建立された「疫病記念柱(聖母マリア柱)」が立ち、ペスト終息の感謝と鎮魂の思いが込められています。中世には市場や見世物の場としても利用され、現在でもイベントやフェスティバルの会場となるなど、その役割は変わらず町の心臓部として機能しています。周囲にはカフェ、レストラン、土産物店が並び、観光客と地元の人々で活気に満ちた空間です。

