スペイン・アンダルシアの潮風に包まれて―サンルーカルのビーチ競馬！

スペイン南部、カディス県のサンルーカル・デ・バラメダでは、1845年からビーチ競馬が開催されており、非常に長い歴史を誇ります。ヨーロッパ各地から騎手とともに、サラブレッドの牡馬たちが集まり、1,400mから2,000mのコースを駆け抜けます。毎年8月に、3日間ずつの2つのサイクル（合計6日間）で、干潮の夕方以降にレースが行われます。私たちが訪れた際は、最初のレースは午後6時半頃にスタートしました。この競馬は、干潮の時間帯に合わせて行われるため、毎年日程が変動します。2025年の開催日は、8月5日、6日、7日と、8月19日、20日、21日でした。

サンルーカルのビーチ競馬の観戦席には、無料エリアと有料エリアの2種類があります。砂浜にレジャーシートを敷いたり、ビーチチェアに座って観戦できるビーチ側のゾーンは、無料で開放されています。一方、有料エリアには、ゴール付近の観覧スタンドやバーラウンジ、賭けブース、そしてレース前に馬たちがウォームアップする様子を間近で見られる特設エリアなどがあります。チケットはオンライン、または現地のチケットブースで購入可能です。無料エリアでは、カラフルなビーチパラソルが並ぶ中、ピクニックのような雰囲気で楽しむことができます。また、走る馬との距離が近く、その迫力を間近で感じられます。今回は私たちは有料エリアを利用してみたのですが、レース前やレースの合間にも楽しめる工夫があり、しかもコース全体を見渡せて大正解でした！軽食の販売もあり、スペインの国民食であるボカディージョ・デ・ハモン（bocadillo de jamón）というイベリコ豚の生ハムが入ったサンドイッチなどが並びます。バーラウンジでは、サンルカール名物のマンサニージャ（Manzanilla）をぜひ試してみてください。軽やかでフレッシュな味わいのシェリー酒で、冷えたマンサニージャは真夏日にぴったりの涼感を与えてくれます。

私自身、日本でも競馬をしたことはなかったのですが、せっかくの機会なので挑戦してみることにしました。ウォームアップの時間には、レースに出場する馬と騎手たちが円を描くようにゆっくりと数周歩きます。その様子を眺めながら、家族みんなで「あの馬は速そうだね」などと話し合い、とても盛り上がりました。投票券売り場の列で、たまたま隣にいた見知らぬ方と少し話す機会がありました。その方によると、国によって馬の血統や調教方法にはかなりの違いがあり、それがレースの結果にも大きく影響するのだそうです。ある国の馬について（あくまでその方の意見なので国名は伏せますが）、見た目は立派でもスピードが足りず、なかなか勝てないこともあるのだとか。そんな話を参考にして、私たちもどの馬を選ぶかを決めました。

いよいよレースの時間がやってきました。観客スタンドはゴールに近い場所だったため、気がついたときにはすでにレースがスタートしていました。馬たちがだんだんと近づいてくるにつれて、大きな歓声が上がります。私たちも、自分たちが選んだ馬を精いっぱい応援！ものすごいスピードで目の前を駆け抜けていく姿は、本当に一瞬の出来事で、あっという間にゴールしてしまいました。最後までハラハラドキドキのレース。私の結果は見事に外れてしまいましたが、それも含めて楽しく、大満足！唯一、義母の予想だけが的中し、大いに盛り上がりました。夕焼けに染まる砂浜を後にしながら、「また来年も見に来たいね」と家族で話しました。情熱的なスペインのイメージそのままに、潮風と強い太陽の光を浴びながら観たビーチ競馬は、本当に心に残る体験でした。